コラム
2025/10/01
広報は企業活動に欠かせない存在であり、どの企業も広報なしでは成り立たない。広報を経営に近い活動と考えるのは自然だろう。しかし、本学の広報メディア学科は経営学部ではなく文化社会学部にある。国内で唯一「広報」の名を冠するこの学科が、なぜ文化社会学部にあるのか―。その理由を、本学科のキャッチコピー「社会的に価値あるメッセージを創造・発信する」から考えてみたい。
広報の代表的な手法に「パブリシティ」がある。TVCMやSNS広告のようにお金をかけて露出を得る広告とは違い、社会的に価値のある情報を発信し、ニュースや新聞記事、SNSなどで取り上げられることで、広告費をかけずに情報を広める手法だ。例えばAppleの新型iPhoneの発表は、多くの人が広告ではなくニュースで知る。それは記者がその出来事に社会的価値を見いだし、報道してくれるからだ。特に中小企業にとっては、高額な広告を打つのが難しいため、パブリシティを上手に活用できるかどうかが広報活動の成否を分ける。
もちろん、メディアは企業の宣伝のために記事を書くわけではない。
Appleのような世界的企業は別として、無名の企業がただ宣伝目的で発表会を開いてもメディアは集まらない。報道されるのは「企業にとって」ではなく「社会にとって」価値のある情報だからだ。ここにパブリシティ成功の本質がある。
だからこそ広報では、自分たちの組織や商品が持つ「社会的価値」を見極め、掘り下げることが大切になる。SNSで誰もが簡単に情報を発信できる今、自分たちが「伝えたいこと」だけを発信してしまいがちだが、重要なのは「社会が知りたいこと」を見定めることだ。企業や商品を知ること、メディアの特性を知ること、そして何より社会を知ることが求められる。
大学時代は「自分の好きなことを追求できる限られた時間」と言えるだろう。学生の皆さんにはその時間を大いに楽しんでほしい。ただし、広報メディア学科で学ぶ皆さんには、その楽しみと同時に「自分の発信する情報の社会的価値」を意識してもらいたい。こうして考えると、広報メディア学科が経営学部ではなく文化社会学部にある理由も、少し見えてくるのではないだろうか。(筆者は毎号交代します)
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