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コラム

2020/08/01
学生と日々接する中で感じていることや思いなど、
毎年3人の東海大学の教員がそれぞれの視点からつづるリレーエッセイ。

家族や友人との食事こそ

農学部応用動物科学科 伊藤秀一 教授

昨年の約10カ月間、スコットランドのエジンバラでアニマルウェルフェア(動物福祉)について学ぶ機会をいただきました。この留学ではアニマルウェルフェアだけでなく、環境保全との関係を重視する畜産を学ぶことができました。また、大学や研究所のシステムや考え方も日本とは異なり、さまざまなことを感じる機会となりました。

お世話になったスコットランド農業大学の動物行動学・福祉学チームには、ポスドクも含めて約40人のスタッフが所属し、皆さん忙しくも非常に親切で、“放置しながらも気にかけてくれる”心地よい時間を提供してくれました。スタッフ同士の仲もよく、ミーティングなども和気あいあいと楽しい時間でした。

しかし、全体での飲み会は最後まで開かれませんでした。暑気払いも、忘年会も、新年会も、クリスマス会もありません。スタッフの送別会などは、アルコールなしのランチ会です。「食事は、家族や友人と行くものであり、仕事ではない」ということなのでしょう。自宅で夕飯を食べた後に近所のパブにビールを飲みに行くという話もよく聞きました。また、飲み会がない理由として地理的な状況も関係しているようです。職場には郊外の村から車で通っている人が多く、お酒を飲んだら帰れない。逆に言うと、家を探すときに「街で飲んでも帰れる場所」 を条件にしていないのかもしれません。

日本ではコロナ禍で外食産業も大きなダメージを受けています。飲み会での消費を想定した特徴あるブランド畜産物の販売も停滞しています。今までの戦略が間違っていたとは言いきれませんが、職場の飲み会という「仕事なの?楽しみなの?」という不思議な集まりをターゲットにするのではなく、今後は家庭や友人との食事を想定していくことが必要になっていくのではないでしょうか。

お酒に関してもう一つ。「近ごろの学生はお酒を飲まなくなった」と言われていますが、研究室の学生と飲み放題のお店ではなく、おいしいお酒が飲めるお店に行くと、味を楽しみ、もっと知りたいと思うようです。学生だって、酔うためだけのアルコールには興味がないのは当然だと思います。すなわち「食を楽しむ」ことが、結果的には生産者への尊敬や安定的な消費につながる気がします。

(筆者は毎号交代します)

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