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コラム

2016/10/01
学生と日々接する中で感じていることや思いなど、
毎年3人の東海大学の教員がそれぞれの視点からつづるリレーエッセイ。

はじまりは望星学塾

課程資格教育センター 篠原 聰 准教授

2017年、東海大学は建学75周年を迎える。私が兼担している松前記念館は建学40周年を記念して設立されたので、それからさらに35年の歴史を刻むことになる。この間、2008年には九州東海大学および北海道東海大学と統合し、現在、学生約2万9000人、教職員約2700人を数える総合大学へと本学は発展してきた。学園の創立者・松前重義博士の没後25年を迎えた今日、あらためて東海大の教育の源流を振り返ってみたい。

今から80年ほど前、東京武蔵野(三鷹市)に小さな青年道場「望星学塾」が誕生した。「星は無限の彼方に輝く。それに到達するには真に天文学的数字の距離がある。それは不可能に近い事業である。しかしこの偉大な希望をもつことは若き者の特権である」と創立者は述べている。

この学塾に集まった若き塾生たちは、聖書の研究を中心に日本や世界の将来を語り合い、ときに身体を鍛え、お互いにものの見方、考え方を養い、人生と社会に対するそれぞれの使命を発見し、それに生涯をささげていったのだろう。幸せな人生だと思う。「歴史を大観し、人生観、世界観、歴史観を把握した上で生涯の使命を発見しなければならない」と創立者は生涯学生に語り続けた。

「歴史を大観する」とは、地球が誕生してからの46億年の歴史について考えることである。言語を持ち、芸術を創造し、宇宙船までをもつくってしまった人類が誕生してからの歴史を考えることである。「生きる」とは何か、「生きている」とはどういうことなのかを考えることである。

人類が誕生してから今までに経過した時間は、地球の歴史の中の0・0001%にすぎない。初期の文明が誕生してからの期間に限れば、わずか0・00001%にすぎないのだから。私たち一人ひとりが生をうけて「いま、ここ」に存在すること。それがどんなに希有なことかを地球46億年の歴史は教えてくれる。そんな私たち一人ひとりが、地球上で唯一、この星の未来を握っている存在なのだ。

望星学塾の50周年を回顧した文章の中で創立者は次のように述べている。「我々の使命は大学の建設だけで終わるものではない。大学の建設を通じて平和国家の建設、世界平和の建設を実現させねばならない」(筆者は毎号交代します)

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