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コラム

2015/11/01
学生と日々接する中で感じていることや思いなど、
毎年3人の東海大学の教員がそれぞれの視点からつづるリレーエッセイ。

学びが生まれる

文学部ヨーロッパ文明学科 柳原伸洋 講師

「学び」って何だろう。

その答えをいつも探しながら、大学で講義や演習をしている。ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーは、優れた研究者が同時に優れた教育者であることは天恵にほかならないと、100年ほど前に記した。学問とはすべて、とどのつまり「ヒトについて考える」につながっている。そして私にとって教育とは、ヒトそして学生について考える場であり、それは自分の歴史研究にも通底する。

学校には、怖い言葉が多い。「勉強」や「教鞭」など。そのせいか学生側の言葉も残念になる。「だるい」や「うざい」など。また、ネット・SNSの普及からか、勢いで打ち込み、勢いで送信、そんな洗練されていない文書を他人にぶつけることも多い(自戒を込めて)。

学校には、もっと推敲・洗練された優しい言葉があふれていてもよいだろう。磨かれた言葉は、社会を住みよくしていく。なぜなら、私たちは言葉で社交しながら、社会をかたちづくっていくのだから。そういう意味で、私の所属する文学部は、「実学」を提供する重要な部局だといえる。

ここで、私が受けもつ演習式の講義を紹介しておこう。この演習では映画に関するエッセイを書いてもらい、全員で検討する。参加者には自身の日本語と徹底的に向き合ってもらう。句点と読点、語用の誤用、同語と同義語など。「日本語話者の自分は、本当に日本語を使えているのだろうか」という問いとも向き合う。

所属学科では、各教員がそれぞれの情報を共有しながら文章課題(リポート)を指導する体制も整えられている。手前味噌だが、かなりの充実具合だ。それを前提に、このエッセイ演習は補完的な役割を果たす。リポートではなくエッセイを書いてもらうことで、「書く愉しみ」を知ってもらう。それがリポートひいては卒業論文を「書きたい気持ち」の源泉になる。そして、この学びは、大学4年間だけではなく、一生モノの技能になるだろう。

こうした講義を通じて私が学んだこと。それは、学生たちがとてつもない学びのポテンシャルを秘めているという事実。

「学びが生まれる。だから学生と書く」、こんな読みかえも許されるかもしれない。

(筆者は毎号交代します)

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