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研究

2025/06/01

【医学部医学科】長期・世界規模の疫学データを分析

炎症性腸疾患の進展を予測

 

「若年で発症したIBDの患者さんが寛解の

状態をできるだけ長く保ち、満足度の高い

生活を送れるよう努力します」と鈴木教授

医学部医学科内科学系消化器内科学領域の鈴木秀和教授が参画する「GIVES-21コンソーシアム」が、炎症性腸疾患に関する世界的な疫学データを分析。その成果をまとめた論文が4月30日に、国際科学誌『Nature』電子版に掲載された。

 

潰瘍性大腸炎とクローン病に代表される炎症性腸疾患(IBD)は、下痢や腹痛、栄養の吸収不良などを引き起こし、寛解と再燃を繰り返す難病。若者に多く発症し、原因は確定されていない。19世紀半ばから20世紀初頭に北アメリカやヨーロッパで発見されて以降、同地域を中心に広がり、日本でも1990年代から急増。厚生労働省による2014年度の調査では、潰瘍性大腸炎の患者数は約22 万人、クローン病の患者数は約7万人と報告されている。

 

国際研究団体である同コンソーシアムでは、1920年から2024年までに蓄積された世界82の地域における522のIBDに関する疫学データを分析。その結果、工業の発展やライフスタイルなどの変化により、「出現期」「発生率の加速的増加期」「有病率の安定的増加期」を経て、数十年後に「有病率の均衡期」に至るという4つのステージで展開することを明らかにした。「IBDの進展を予測して準備を整えられるのがポイント。日本は新規の患者数が増加するステージ2の段階にあり、さらなる診療体制の充実が必要」と鈴木教授は説明する。

 

医学部付属病院でも患者数が増えていることから、今年4月に「炎症性腸疾患センター」を開設。センター長を務める鈴木教授は、「各診療科や多職種が連携して集学的治療を展開するとともに、研究意欲のある専門医を育成し、IBDの病態解明や治療法の開発も進める」と語る。

 

「コンソーシアムの一員として世界に貢献できてうれしい。今後はその成果を、患者さんや地域医療にも還元したい」と話している。

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