研究
2025/08/01
「臨床につながる基礎研究を続けたい」と松阪教授
医学部医学科基礎医学系生体機能学領域の松阪泰二教授らによる左右の腎臓機能のバランスに関する研究成果が、6月20日に日本学士院の英文学術誌『Proceedings of the Japan Academy, Ser. B, Physical and Biological Sciences』オンライン版に掲載された。
腎臓は腹部の左右に一対あり、老廃物を排出したり、体内の水分量や血圧を一定に保ったりする働きを持つ。松阪教授らは、一方の腎機能が低下した場合にもう一方の働きが高まる現象に着目。片側の腎臓の糸球体足細胞（老廃物をろ過する糸球体の上皮細胞）に障害を与えて機能を失わせたマウスと、両腎に障害を与えたマウスを作製して比較した。
その結果、両腎を障害したマウスは通常の腎臓病と同様の症状が現れたのに対し、片腎を障害したマウスは血流が低下・途絶し、糸球体虚脱（潰れる現象）が起きることを発見。さらにその要因が、血圧の上昇や血管収縮に関与するアンジオテンシンⅡと呼ばれるホルモンの、障害腎のみにおける過剰産生にあることを突き止めた。
腎臓内科の医師でもある松阪教授は、「日本では20歳以上の7～8人に1人が慢性腎臓病との報告もあります。治療法の開発に向けさらに研究を深めたい」と語った。
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