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研究

2025/05/01

【医学部付属病院】卵黄による食物蛋白誘発胃腸炎の病態解明

診断・治療法開発に期待

(右から)山田教授、川村助教、煙石講師

医学部医学科総合診療学系小児科学領域の山田佳之教授と煙石真弓講師、川村大揮助教が千葉大学の研究者らと共同で、卵黄による食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)の病態を解明。その成果をまとめた論文が2月13日に、国際医学雑誌『Clinical & Experimental Allergy』オンライン版に掲載された。

 

FPIESは一般的な即時性食物アレルギーと異なり、食物を摂取した後、一定時間が経過してから嘔吐や下痢などの症状が現れるのが特徴。乳幼児のFPIESは時にショック症状を引き起こすなど重症化するケースがあるが、発症機序は十分に解明されておらず、有効な治療法も確立されていない。

 

ほとんどが3歳ごろまでに治るといわれているが、治癒が確認されるまで年に2、3回入院して検査(卵黄の経口食物負荷試験)を受ける必要があり、患者や家族の負担となっている。

 

研究グループは病態を解明するため、FPIES患者の経口食物負荷試験前後の血液と唾液を採取し、「高深度プロテオーム解析」を用いて含まれるタンパク質を精密かつ網羅的に調査。その結果、FPIESの症状が現れている患者の血清中には、免疫に関わる特定のタンパク質と、白血球の一種である好中球の活性化によって病原体を除去する際の炎症に関与するタンパク質が増加していることを明らかにした。

 

山田教授は、「これらのタンパク質と好中球の働きを詳細に調べることで発症メカニズムを解明し、疾患の判断基準や治療標的となるバイオマーカーを特定できると期待されます」と説明する。

 

煙石講師と川村助教は、「バイオマーカーが分かれば早期に診断が可能になり、患者さんや家族の物理的・精神的な負担軽減になる」「協力してくださった方のためにも研究を進展させたい」と語る。山田教授は、「本研究をはじめ多様なアプローチでFPIESの診断・治療法の開発を進めたい」と話している。

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