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特集

2025/11/01
教育の現場から
話題の授業や地域・企業と連携した課外活動など、東海大学の特色ある教育現場に迫ります。

【11/15〜26 デフリンピック】東海大から8選手が日本代表入り

初の日本開催で活躍誓う

湘南キャンパスを訪れ、活躍を誓った(左上から時計回りに)田中選手、茨選手、高浜選手、荒谷選手、水掫選手、中田選手、岡田選手

11月15日から26日まで東京都内を中心に、聴覚障がい者の国際スポーツ大会「夏季デフリンピック競技大会 東京2025」が開催される。東海大学からは卒業生を含む8選手が各競技の日本代表に選出。9月25日には木村英樹学長らを表敬訪問し、意気込みを語った。日本では初開催となるデフリンピックで熱戦を繰り広げる選手たちに声援を送ろう。

 

木村学長(左)と懇談する茨選手(左か

ら2人目)ら

デフリンピックは「耳が聞こえない」を意味する「デフ(Deaf)」とオリンピックを合わせたもので、国際ろう者スポーツ委員会の主催で4年に1度開かれている。1924年にフランスで開かれた第1回大会から100周年の節目にあたる今大会では、21競技に約3000人が出場する。

 

卒業生では、過去4大会で19個のメダルを獲得している水泳の茨隆太郎選手(大学院体育学研究科2017年度修了・SMBC日興証券)や、前回大会のバドミントン混合団体戦で日本初の銀メダルに輝いた太田歩選手(体育学部13年度卒・ジェイエア)ら5選手が代表入り。現役学生ではバレーボールの高浜彩佑生選手(同3年)が2大会連続、陸上競技・短距離の荒谷太智選手(同)と柔道の水掫(もんどり)瑞紀選手(同2年)が初出場を決めた。

 

表敬訪問には、遠方に住む太田選手を除く7選手が出席し、木村学長、濱本和彦副学長に向けてこれまでの経歴などを紹介。木村学長は、「これほど多くの選手が選ばれるのは他大学にはない本学の強みです。プレッシャーを楽しみ、指導してくださった先生方を信じて思いっ切りチャレンジしてください」とエールを送った。バレーボールの中田美緒選手(同22年度卒・清水建設)は、「代表としての責任を持ち、再びいい報告をしに来られるように頑張ります」と意気込みを語った。

 

デフリンピックでは旗や光が合図になり、選手らは手話でコミュニケーションを取る。前回大会の日本選手団主将で、東京招致にも尽力した茨選手は、「デフスポーツを知らない人にも会場に足を運んでもらい、ろう者を身近に感じてほしい」と話す。

 

どの競技も観戦は無料で事前申し込みも不要。詳細は大会公式サイトを参照。

 

〔陸上競技〕夢舞台で感謝と感動伝える 荒谷太智選手(体育学部3年)

湘南キャンパスの陸上競技場でトレーニ

ングに励む 

東京大会への出場を目指し、自ら道を切り拓いてきた荒谷選手。高校2年生までは卓球部に所属していたが、3年生に進級する際に部員が1人になり、得意だった陸上競技に転向した。

 

数々の大会に出場する中で、「デフリンピックの意義や魅力を知る機会が増え、東京大会への思いが日々強くなっていった」と語る。一方で、「競技を始めて1年目。代表を目指す過程が茨の道になることは覚悟していた」と話す荒谷選手が選んだのは、多くのオリンピアンを輩出してきた湘南キャンパス陸上競技部での挑戦だった。入部に必要なタイムには届いていなかったが、高野進監督(体育学部教授)に直談判で決意を伝え、入部が認められた。

 

当初は高いレベルの練習に苦戦したが、「自分で選んだ道。焦らずに次につなげよう」と前を向き続けた。2年時には、100mの自己ベストは入部当時の11秒97から11秒12へと更新。東京大会の男子4×400mリレーと混合リレーで代表入りを果たした。「支えてくれた人たちに感謝と感動を伝えたい」と目を輝かせている。
 

 

〔バレーボール〕仲間との約束を果たす  高浜彩佑生選手(体育学部3年)

力強いサーブとアタックでチームに勢い

をつける

昨年6月に沖縄県で開かれたデフバレーボールの世界選手権大会で初優勝に輝いた女子日本代表。高浜選手もピンチサーバーとしてコートに立ち、金メダルを手にした。

 

日ごろは神奈川県内のクラブチームや日本代表の練習に参加。湘南キャンパスの手話サークル「湘南サインフレンズ」の部長も務める。デフリンピックは前回大会に続き2度目の出場だ。

 

ブラジルで開かれた前回大会は、日本選手団の新型コロナ感染による棄権で終え、力を尽くせず悔しさが残った。「帰国する際にチーム全員で、“次のデフリンピックでは絶対に優勝しよう”と誓いました。その約束を東京大会で果たせるよう、試合に向けて努力を重ねています。大会100周年という節目に日本で開催されることを誇りに思い、仲間と共に頑張りたい」と話す。

 

また、「サーブ交代で試合に出ることが多いので、チームに流れを持ってくる質の高いサーブを打つことが目標。仲間が自分に上げてくれたボールは一球たりとも無駄にせず、“全部決めにいく”という気持ちをぶつけたい」と意気込んだ。
 

〔柔道〕一本勝ちで優勝目指す 水掫瑞紀選手(体育学部2年)

日の丸の柔道着を身にまとい、男子90kg級

の王座に挑む

「小さいころに五輪をテレビで見て、柔道ってかっこいいなと思ったことを覚えています。5歳のときに親の勧めもあって競技を始め、最初のうちは嫌々練習していたのですが、“試合に勝ったらゲームを買ってあげるよ”と言われて頑張るような子でした(笑)」 そんな水掫選手の転機になったのが小学校3年生のときに行われた地元・奈良県の小学生大会だった。見事優勝を飾ると一転、「競技に一生懸命向き合うようになりました」。友人に誘われて付属大阪仰星高校に進学し、アジアろう者選手権大会で銀メダルを獲得。昨年の世界ろう者選手権大会では銅メダルを手にするなど、着々と力をつけている。

 

現在は男子柔道部に所属し、日本一、世界一を目指すチームの中で週6日の練習に励んでいる。間近に迫った東京大会に向けて、「外国人選手は力が強いので、うまくかわして自分の形に持っていけるように対策しています。一本を取るところを見てほしい」と話す。「今まで培ってきた力を全て発揮し、優勝を目指します」と前を見据えている。

 

〔バドミントン〕太田歩選手(体育学部13年度卒・ジェイエア)

 前回大会では混合団体戦で銀メダル、男子ダブルスでベスト4に入り、その後は引退して育児と仕事に専念していました。しかし、もう一度デフリンピックに出場したいという気持ちが芽生えて競技に復帰し、家族や仲間に支えられて3度目の出場権をもぎ取りました。メダルを取って子どもにかっこいいパパの姿を見せることが目標です。周囲の応援やサポートに感謝し、競技人生の集大成として頑張ります。 

 

〔水泳〕茨隆太郎選手(大学院体育学研究科17年度修了・SMBC日興証券)

 2009年に初出場して以来5度目となる今大会は、前回金メダルを獲得した200mと400mの個人メドレー、100mバタフライ、200m自由形など8種目に出場予定。自己ベスト、世界新記録の更新と、個人種目での金メダル獲得が目標です。これまで積み重ねてきたものを出し切って、自分自身を超えたい。念願だった東京開催で、支えてくださったたくさんの方々に恩返しができるような泳ぎを見せます。

 

〔サッカー〕岡田侑也選手(体育学部18年度卒・ゼンリンデータコム)

 23年に開かれたデフサッカーの世界選手権大会で過去最高の準優勝となり、チームは着実に力をつけています。自分はけがで出場できなかったので、久々に国際大会のピッチに立てる喜びをプレーで体現したい。代表には双子の弟・拓也(越谷フットボールクラブ)も選出されていますが、障がいの有無に関わらず兄弟での代表選出は珍しいと思います。兄弟の絆を生かし、一番いい色のメダルを持ち帰ることが目標です。

 

〔自転車〕田中航太選手(体育学部20年度卒・ソフトバンク)

 高校まで野球部に在籍していましたが、東海大への進学を機に「新しいことに挑戦しよう」とトライアスロンを始めました。在学中に「デフリンピックに出場したい」という夢を抱いたものの、トライアスロンは実施種目ではなかったため、卒業後は自転車競技に専念。昨年の世界デフ選手権大会スプリントでは8位に入賞できました。大会では、これまでの努力の成果を発揮して、競技の魅力を多くの人に伝えます。

 

〔バレーボール〕中田美緒選手(体育学部22年度卒・清水建設)

 前回大会後は競技を続けるか迷っていましたが、日本開催が決まり“絶対に金メダルを取りたい”と現役続行を決意しました。昨年優勝した世界選手権大会では予選で1敗しているので、今回は完全優勝を狙います。また、大会を通じて聴覚障がいへの理解を広めることも目標の一つ。さまざまな工夫が施されたコミュニケーションの方法を知ってもらいたいです。ぜひ会場で、音のない世界を一緒に楽しみましょう!

 

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