特集
2020/07/01遠隔授業開始から1カ月が過ぎ、東海大学の各学部学科でオンラインでの新しい取り組みが行われている。文学部・文化社会学部広報メディア学科では、「映像制作」などの授業を履修する学生たちが、リモートで取材、編集した番組を制作。健康学部では教員たちがよりよい授業を行うために、オンライン上で「遠隔授業フォーラム」を開催した。
メディアを学ぶ学生として、今できることを――。「映像制作」などを履修する広報メディア学科の学生たちは、遠隔授業で使用しているWEBビデオ会議システム「Zoom」などを活用し、取材から編集まですべて自宅で行い、番組を制作。約1カ月かけて完成したドキュメンタリー番組『ミネスタウェーブ特別番組~今、私たちが出来る事・伝えられる事~』が、7月1日から湘南ケーブルネットワークなど全国15局で放送される。
同学科ではメディア実践教育活動を展開しており、隔月で学生が制作した番組「ミネスタウェーブ」と「東海Book Café」を各地のケーブルテレビ局などで放送してきた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、5、6月は過去の番組の再放送となっていた。
学生が番組に登場 これまでにない構成に
「番組制作を始めた5月ごろから各テレビ局がリモート収録した番組を放送し始めたので、いいところを参考にしながら構成を考えました」とリーダーの小佐野迅弥さん(2年)は振り返る。過去の番組に登場した「車いすバスケットボール」の石川丈則さん(パラ神奈川スポーツクラブ)、「移動スーパーとくし丸」の川口倫史さん、高齢者向けの弁当配達サービスを展開する「配食のふれ愛」の反町弥生さんに、当時の担当ディレクターがリモートでインタビュー。久々の再会を喜ぶとともに、コロナ禍の中での生活や仕事をするうえで心がけていること、以前の生活に戻ったらやりたいことなどを聞き、過去の映像も再編集して一本の番組にまとめた。
「これまではインタビューする学生が映ることはなかったので、リモート番組ならではの構成になった」と総合プロデューサーの松浦知里さん(2年)。総合ディレクターの橋本紗紀さん(同)と広報担当の河原理紗さん(3年)は、「3人の出演者の前向きな姿や笑顔、困難を乗り越えて番組制作に挑む学生の姿を映すことで、番組を見る人がコロナによる不安を少しでも忘れることができればうれしい」と話す。
指導にあたった五嶋正治教授は、「手探りの中で始めた取り組みだったので、学生も最初は不安があったと思います。授業で培ったことを生かして一つの番組として社会に発信できたことは大きな成果だと感じています」と語った。
【健康学部】よりよい授業を目指し FD企画で教員が意見交換
健康学部が6月11日、WEBビデオ会議システム「Zoom」を使った「第1回 健康学部 遠隔授業フォーラム(FD企画)」を開催した。同学部では5月11日から始まった遠隔授業で教員が疑問に感じたことや困ったことなどをグループウェア「Teams」で共有し、課題解決に取り組んできた。今回は遠隔授業開始から1カ月が経ったところで顔を合わせて意見を交換し、よりよい授業にしようと学部の教育研究推進委員会が企画。教員17人が参加した。
初めに企画を担当した堀越由紀子教授が、「廊下で会って雑談をしながら解決できていたことも、教員も顔を合わせる機会がなくなり、それぞれに抱えている問題も多いと思います。今日は気軽に発言し、今後に生かしていきましょう」とあいさつ。その後、森真理准教授が司会を務め、Zoomのブレイクアウトルーム機能を用いて4つのグループに分かれてディスカッションした。
動画の内容を工夫 メリットを今後に生かす
遠隔授業の進め方や気づいたこと、解決したい課題などを話し合い、最後に各グループの代表者が発表した。録画した動画を配信している教員は、「専門用語など言葉の正確性を大切にしています。雑談もなく一方的に説明するだけでは伝わらないと感じ、資料の文字を減らして見やすさを重視したり、音声を加えたり工夫しています」とコメント。別の教員からは、「オンデマンド型の授業でも、授業時間内にオンラインで補足説明をしたり、確認クイズを出したりするなど、理解度を測るようにしています」といった意見も上がった。中には「学生からTeamsやメッセージアプリ『LINE』などで個別に質問が寄せられることが多く、授業時間以外にも対応していると終わりが見えません」といった苦労の声も。
最後に堀真奈美学部長が、「授業の進め方や工夫、ツールの使い方など、さまざまな意見交換ができてよかったのではと感じています。今日聞いた遠隔授業のメリットやデメリット、知恵を今後に生かし、健康学部のオンラインでの学びが学生にとっても、教員にとってもよいものになるよう、これからも尽力していただければ」とまとめた。
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