研究
2023/08/01
日本東洋医学会の伊藤隆会長（右）から
野上准教授に表彰状が授与された
医学部医学科の野上達也准教授（専門診療学系漢方医学領域）がこのほど、第35回日本東洋医学会奨励賞を受賞。福岡市で開催された同学会学術総会2日目の6月17日に授賞式が行われた。この賞は、東洋医学における優れた研究や将来性のある研究を発表した者に贈られている。
野上准教授は、抗炎症作用がある生薬「オウゴン」を含む薬を服用した患者が、副作用として間質性肺炎を発症する割合を年間にわたり調査。1111人に対して発症率が0.27％であることを初めて報告した。この成果は、医師や患者に副作用の注意を促し、間質性肺炎の防止につながると期待されている。さらに、同領域の新井信教授が進めてきた全国の医学部における漢方教育の実態調査にも参画し、2011年と19年を比較。教員や教科書の不足といった課題を明らかにし、漢方医学教育の充実に貢献した。
野上准教授は、「漢方薬は約9割の医師が処方していますが、“この症状ならこの生薬”といった『病名漢方』の域にとどまっているのが現状です。個々の患者さんの状態を見極めて正しく効果的に使うポイントを、現役の医師らにも、次世代にも伝えていかなければなりません。受賞は、東洋医学界にさらに貢献するようにとの励ましと受け止めています。今後も漢方を臨床に生かすための研究を続けるとともに、人材の育成にも尽力していきます」と語った。
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