スポーツ
2019/06/01世界選手権での「金」誓う
4月29日に日本武道館で柔道の全日本選手権大会が行われ、東海大から卒業生を含む8選手が出場。ウルフ・アロン選手(体育学部卒・了德寺大学職員)が初の頂点に立った。現役学生唯一の出場となった男子柔道部主将の太田彪雅選手(体育学部4年)は、準々決勝で前回大会王者の原沢久喜選手(百五銀行)を破り3位に入った。 (取材=南雲小夜花・文学部4年)
体重無差別で優勝を争う今大会で、100キロ級のウルフ選手は初戦からスピード感あふれる柔道を展開。オール一本で勝進み、決勝では今大会の優勝経験もある加藤博剛選手(千葉県警察)を技ありで下した。
「これまでの努力や対策、練習が結果につながった。思っていたよりも何倍もうれしい」と思わず涙があふれた。6年ぶりとなる最重量級以外の覇者に、会場は大きく沸いた。
最重量級の選手との試合はけがをする可能性が高いという周囲の心配もあったが、「日本の100キロ超級に勝てなければ、世界の100キロ級に勝てない」と出場を決めた。自分より30キロ以上重い選手と組み合っても、スピードを生かして自ら組手を先に完成させ、相手の隙を逃さず技をかけ続けてスタミナを削り、優勝につなげた。
ウルフ選手は8月25日から9月1日まで日本武道館で行われる世界選手権東京大会の男子個人100キロ級の代表に内定している。相手の表情や上半身の動きから次の技や弱点を予測して対応できるクレバーさに加え、「技に入る前のフェイントの数を増やし、見ていて盛り上がる柔道をしたい」と話す。
大学4年時の同ブダペスト大会では初優勝したものの、昨年の同バクー大会ではけがの影響もあり5位だった。東京生まれのウルフ選手は、「今年の世界選手権や来年の五輪が地元で行われることはうれしい。多くの人に優勝する姿を見せたい」と意気込んだ。
“三冠柔道家”に王手「東京で決める」
全日本選手権、世界選手権、五輪を制した柔道家を「三冠柔道家」といい、先人には山下泰裕副学長や男子柔道部の井上康生副監督(体育学部准教授)ら名だたる選手がいる。王手をかけているウルフ選手は、「小さいときに井上先生の試合を見て、こんな選手になりたいと思った。今度は自分が目指したいと思われる選手になる」と語気を強める。
「全日本の頂点を取った次の年に五輪があるなんて、神様が“三冠柔道家になれ”と言っているように感じる。世界選手権で優勝し、最高の状態で五輪へつなげたい」
(写真)加藤選手との決勝では延長戦の末に支え釣り込み足で技ありを奪い優勝を決めた
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