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研究

2018/12/01

革新的な超薄膜で 顕微鏡の限界を打ち破る

大学発ベンチャーを設立
マイクロ・ナノの技術を社会に還元


東海大学が取り組んできた高い機能性を持つ高分子超薄膜の研究成果を社会に還元する大学発ベンチャー「(株)チューン」(本店=神奈川県厚木市)が、11月2日に設立された。文部科学省の平成26年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業の採択を受けた東海大のマイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)による研究の一端が結実したもの。企業などと連携して機能性高分子超薄膜を販売し、収益を学生や若手研究者の育成に生かす計画。

同社は、顕微鏡で試料を観察する際に用いるイメージング用高分子超薄膜の製造販売と、それを利用した観察法の技術指導を主な事業としている。代表取締役を務める喜多理王教授(理学部)は、「イメージングの世界を変革する可能性を持つ技術を世に出し、研究・開発の発展に貢献したい。商品化する場合には、企業間ビジネスの形で連携したいと企業側から要望が寄せられたことも大きかった」と語る。

核になるのは、岡村陽介准教授(工学部・同社取締役)を中心に、MNTCで研究開発が進められてきた技術。試料をラッピングするだけで乾燥とぶれを防ぐ「撥水性超薄膜」と、今年10月に国際ジャーナル『Journalof Materials ChemistryB』に掲載された、液体中の浮遊細胞の長時間観察を可能にした「多孔質超薄膜」という、2つのラッピングシート(特許出願中)を扱う。岡村准教授は、「撥水性超薄膜がターゲットとする臓器や脳組織といった生体組織も、多孔質超薄膜の浮遊細胞も、顕微鏡を使った長時間観察には熟練の技が必要でした。基本的な技術を習得すれば誰でも観察できるようにしたのがこの製品の最大の特徴」と語る。

今後は生産環境を整え順次商品を出荷。イメージング法の技術講習も行い、利用の拡大を図る。

事業の収益を活用し若手研究者育成も支援
また、収益を原資に基金を設立し、学生向けの奨学金設立や医理工連携、QOL向上に資する研究の支援も行いたいと喜多教授は語る。「大学の特許を使う以上、教育・研究への還元は当然のこと。事業化に至る成果が出たのも、学生の尽力や多くの研究者、大学職員の理解と協力があったからこそ。これを新たな一歩に、社会に貢献できる研究成果を世に送り出していきたい」

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