研究
2023/05/01海洋学部水産学科の秋山信彦教授や大学院地球環境科学研究科(博士課程)の鈴村優太さんらの研究グループがこのほど、日本水産学会論文賞を受賞。3月30日に東京海洋大学で開催された春季大会で、表彰状が授与された。
今回の受賞は、「マダコ用シェルターの適正間隙及び適正配置方法の検討」の内容が評価されたもの。日本で古くから食材として親しまれているマダコは海外からの輸入量が多い一方、近年では欧州などでも広く好まれるようになり価格の高騰が進んでいる。養殖方法の研究は進んでいるが、マダコは飼育時に小さな隙間があると逃げ出してしまうほか、狭いスペースに複数の個体を入れると共食いするため、同一水槽での大量飼育ができないといった課題があった。
研究グループでは、水槽内に設置するシェルターを開発。ポリ塩化ビニール製の板を用いて、マダコが好む板の向きと隙間の幅を調べた結果、板を縦に設置するとシェルターとしての利用率が上がり、複数個体が排他的行動をとりにくくなると明らかにし、「水槽からの逃亡や共食いがほぼなくなった」とまとめた。
学会大会で表彰状を受け取った鈴村さんは、「子どものころから海洋生物が好きで、両親に“タコを飼いたい”と頼み続けていた時期もありました。その思いは今も変わらず、受賞はもちろん、この環境に身を置けて幸せです」と笑顔で話す。秋山教授は、「研究の成果を社会実装につなげ、食文化の発展に寄与していきたい」と語っている。
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