研究
2022/10/01
情報通信学部の中谷裕教講師＝写真＝らがこのほど、言語機能における小脳の役割を解明。この研究成果が8月4日に、国際学術誌『The Cerebellum』（オンライン版）に掲載された。東京大学大学院准教授の中村優子氏と帝京大学教授の岡ノ谷一夫氏との共同研究で明らかになったもの。ヒトが言語を使う際、脳の大脳皮質左半球にあるブローカ野などが大きく関与していることが知られている。一方、脳活動の可視化技術が進歩したことで、小脳外側部にも言語にかかわる活動が確認されるようになった。
中谷講師は、「小脳の代表的な機能は、身体制御などの運動機能にあるとされていますが、言語機能における具体的な役割は明らかになっていませんでした」と語る。研究グループでは2020年度から文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「共創的コミュニケーションのための言語進化学」の助成を受けて研究をスタートさせた。
実験では被験者に対して、「太郎は花子が試験に合格したと聞いた」のような埋め込み構造のある短文を提示。そのときの脳活動を計測すると、大脳皮質左半球にあるブローカ野だけでなく、小脳外側部にある「Crus-I」という部位が対応した活動を示していることがわかった。また、ブローカ野とCrus-Iの脳活動は同期しており、これらの部位が連携して文法処理を行っていると明らかにした。
中谷講師は、「本研究の成果は、言語の起源と進化を考えるうえで重要な視点を提供するものです。今後は言語の起源、進化に関する研究にもつなげていきたい」と話している。
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