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特集

2014/08/01
教育の現場から
話題の授業や地域・企業と連携した課外活動など、東海大学の特色ある教育現場に迫ります。

学生ならではのアイデアを提案

国際文化学部デザイン文化学科
札幌市内の企業と連携し
社会で生きるデザイン力を


デザインの力を高め、それを社会で生かす力にもつなげよう―国際文化学部デザイン文化学科がこの春、キャンパスのある札幌市南区の企業と連携した授業を展開した。ワイナリーのブランディングや地元特産の石材を使った商品開発、大学での学びを実社会と結びつけるユニークな取り組みを追った。


◆ワイナリー×グラフィックデザイン

ブランドをPRする

札幌校舎から約10㌔離れた「八剣山」。リンゴやサクランボなどの果樹栽培が盛んで、南山麓にある八剣山ワイナリーには醸造所やブドウ畑を回る遊歩道が整備されている。ワインはもちろん、気候風土を生かして加工されたシードルやフルーツジャムなども販売されている。

「グラフィックデザインB」の授業では、これらワイナリーにかかわる要素について、デザインのスキルを生かして、広く社会にアピールする作品制作が課題だ。ラベルから、商品を梱包する袋や包み紙、ポスターや施設の案内地図、キャラクター、CM映像にWEBサイト……消費者の購買意欲を高めるためにグラフィックデザインが果たす役割は多岐にわたる。

学生たちはアイデアを幾度となく見直し、現地での取材なども行いながら作品の完成度を高めてきた。7月18日には、ワイナリーを運営する㈱八剣山さっぽろ地ワイン研究所の亀和田俊一代表取締役を迎え、学生21人がプレゼンテーション。既存の商品の改善や新商品など、自らのアイデアを力説した。

ジャムのパッケージを提案した藤倉亜稀さん(3年)は、「既存のイメージを崩していないか、気を使いました」と言う。CM映像を作った西村佳菜子さん(同)は、「クライアントが求めているものを考えながらの制作は大変だけれど、やりがいがあった」と語った。学生たちの提案を聞いた亀和田氏は、「学生の柔軟な発想はどれも新鮮。ワインに対する思いを理解してくれていると感じました」と評価。授業を担当する石塚耕一教授は、「地域の要望に応えるとともにこちらも積極的にアイデアを出し、お互いに高め合っていきたい」と語っている。
 

(写真上)ワイナリーの亀和田氏を迎えて行われたプレゼンテーションでは、学生たちがそれぞれの作品の特長やセールスポイントを熱弁
(写真下)ボトルを包む風呂敷やラベル、ポスターなど。梱包用の紙袋は中身が見られるように窓を開けるなど工夫が凝らされている

 
◆札幌軟石×プロダクトデザイン
特性を生かした商品開発

「これまで培ってきたものづくりのノウハウを生かし、地元の課題をデザインでクリアすることを目指しました」と話すのは、「プロダクトデザインB」を担当する中尾紀行教授。この授業では、南区内でのみ採石されている溶結凝灰岩、通称「札幌軟石」を使った商品開発に取り組んだ。

軟石は明治以降、北海道各地で建材として使われてきたが、戦後は建築基準法の制定や安価なコンクリートの普及により衰退してきた。一方で、南区の辻石材工業㈱で建築製造用に採掘・成形されており、端材の活用も進んでいる。

中尾教授は、軟石の優れた熱特性、加工性に着目。これらを生かした新商品に向けて、ヒアリング調査やデザインの企画立案、試作品の製作などに取り組んできた。吸水性を生かした傘立てやコースター、耐熱性に着目した鍋敷き、加工のしやすさから着想したという一輪挿し、調味料入れなど、学生15人は校舎内で加工できる工作室を活用して、自らのアイデアを形にしていった。

7月25日には、辻石材から営業担当の小原恵氏を迎えたプレゼンテーションも実施。学生たちの力作を前に、小原氏は、「製品化までの過程も視野に入れた素晴らしい作品ばかりでした」と笑顔で語った。中尾教授は、「軟石の特徴をよく捉え、生活の1シーンにすんなりとなじむ好感度の高いアイデアを出せたのでは。教育としての効果も高く、今後も可能な限り、授業のテーマとしていきたい」と話している。

(写真上)中尾教授(右端)の指導を受けながら黙々と試作品の製作に励む学生たち
(写真下)プレゼンを受け、最優秀賞に選ばれた上田剛右さん(3年)の「Sprinkle」。石を使った調味料入れという斬新なアイデアが評価された

 
学科主任に聞く
学生のモチベーションを高め
総合力を培う教育を展開
国際文化学部デザイン文化学科 田川正毅 教授

デザイン文化学科では、デザインの基礎から応用までの演習科目と並行して、ファシリテーションやプレゼンテーションなどの企画構想科目を開講し、社会で生かせるデザインの総合力を培う教育を進めています。そのためにも、講義では学生のモチベーションを高めるテーマの設定が大切です。社会との協働には、自分の提案が企業や地域から期待されているというリアリティーがあり、学生にとって刺激的なものでしょう。バーチャルな世界や狭い人間関係に慣れてきた世代が、地域で光る企業経営者の問題意識に触れることで、人格的な成長も期待されます。

地域の企業と連携し優れたデザインを実現するには、歴史や文脈、素材、技術、革新性など多くのことを踏まえる必要があります。そうした経験から、取り組みたいテーマを自ら見つけるようになってもらいたい。先駆けであることを誇りに、チャレンジ精神豊かに生きる力を養ってほしいですね。

デザイン文化学科では、7月19日から9月28日まで開催される「札幌国際芸術祭2014」と連動して、8月に「プロジェクト展」を実施します。本学科の取り組みに共感いただいた地域や企業との活動を紹介するものです。この機会に、さらに幅広く協働や交流が広がることを期待しています。

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