特集:東海大生200人に聞きました
2021年3月1日号
東日本大震災から10年
Q.学生にできること、震災や被災地に思うことは?

2011年3月11日の東日本大震災発生以降、16年の熊本地震、18年の北海道胆振東部地震のほか、台風や水害など多くの自然災害が日本列島を襲った。首都直下型地震や南海トラフ巨大地震などへの懸念も高まる中、いつ、どこで起こるかわからない災害に対し学生たちはどのような備えをしているのだろうか。阪神・淡路大震災後に生まれ、東日本大震災発生当時は小中学生だった学生たちに、震災への思いや防災対策を聞いた。(構成・編集部)

▼まだ仮設住宅に暮らしている人が多くいるので、長期休暇を利用してボランティアに行くなど、まずは自分が大規模な震災を風化させないようにすることが大事。参加した経験を周りに話す(法学部3年・女子)
▼最近、地震が日常的に起きる出来事になっているように感じる。緊急地震速報が鳴ったときに落ち着いて行動ができるのはいいことだが、一方で慣れてしまって万全な備えができていない。東日本大震災から10年の節目を機に防災のあり方を見直し、地震や津波に対するいい意味での恐れを取り戻すべき。「悲観的に考え楽観的に行動する」ことを身につける(観光学部2年・男子)
▼自然災害は私たちがどうにかして防げる問題ではない。起きてしまったらどのような行動をとるべきなのか事前に考える(生物学部4年・女子)
▼いまだに原発事故の被害を受けた県の野菜などが差別されているとニュースで耳にし、とても悲しかった。自分も小学生ながら東日本大震災の記憶は鮮明で、震災から学んだことはたくさんある。思いや記憶を風化させないためにも、私たち学生が次の世代に伝えていかなければならない(健康学部3年・女子)
▼避難場所や備品の確認と用意を定期的に行うこと。近年、高齢化や独居世帯が増加しており、避難するにも手を借りる必要がある人も多くなっている。日ごろからご近所付き合いを大切にして、いざというときに頼り頼られる関係を構築する(医学部3年・女子)
▼東日本大震災の被災地は今では取り上げられることが少なくなったためどこまで復興したのか、福島はどうなってしまったのかなどがイマイチわからない。被災地の現状を発信する必要があるのでは(工学部3年・女子)














▼若い世代に東日本大震災を伝え、誰もが忘れないように、同じことが起こらないように備える必要がある。現場に行ったこともなければ見たこともないので、実感がわきにくいが、復興がなかなか進まない現状をとてももどかしく思う(政治経済学部2年・女子)
▼熊本地震が起こった熊本は東日本大震災で被害にあった県と同じ境遇にある。同じ地震の被災地として全国に向けて防災意識を高める活動をする(経営学部1年・男子)
▼自分の身を自分で守ることができなければ、ほかの人を助けることは難しい。豪雨被害にあった熊本県人吉市に行ったとき、「復興には長い時間が必要。大学生ら若い人たちの協力が心強かった」と聞いた。若い私たちが身を守ることによって、多くの人の助けとなり、復興への道につながるのではないかと考える(農学部1年・女子)
▼新型コロナウイルス感染症が猛威をふるっているため、現地に出向いて何かすることはあまり現実的ではない。学生にできることは震災から学び備えることや、被災地に思いを馳せ現在何ができるのかを知ろうと取り組むこと。震災や被災地の現状はあまり報じられることもなく、知るのが難しいのが現状だが、たとえばふるさと納税で被災地を選ぶなどして間接的に支援することは可能。ネット社会の今、被災地側から発信し、周囲が関心を持つことで、いかようにも支援ができるのでは(医学部2年・女子)
▼10年も経てば過去のことは風化して当たり前。その中でも未来につながるような重要な出来事を要素化して後世に伝える必要がある。「これだけ人が亡くなった」「こんなに大きな津波が来た」ではなく、「それに対してどんな対応をしたのか」「何がよくて何が悪かったのか」を含め教科書に記すなどしておく必要がある。自分で調べるまで阪神・淡路大震災の教訓など知る由もなかった。災害の名前よりも大切なことを教えるべき(情報通信学部3年・男子)










▼今後の建造物建設、土地の埋め立てなどにおいて東日本大震災の被害から考えられる災害予防、対策などを具体化してリストアップしたものを建設規定とし、これを遵守した建設を徹底させる(基盤工学部3年・男子)
▼被災地の情報を集め、友人に話す。まずは関心を持ち、発信することで、周りの人にも調べてみようと思うきっかけをつくる。関係ないと思ったら興味がなくなり、風化を加速させる要因になる(海洋学部3年・女子)
▼私が震災を経験した千葉県は大きな揺れを感じたものの被害は少なく、年を重ね、震災の記憶が薄れているが、東北で被災した人にとってはいまだに色濃くはっきりと記憶に残っていると思う。10年の感じ方も個人差がある。今後また大きな地震が発生すると予測されているが、そのときに身を守る方法を学びたい(文化社会学部1年・女子)
▼国として問題が多すぎて一つひとつに力を回せていないから、大人になる僕たちが考え行動することが大事になってくる(体育学部4年・男子)
▼震災当時10歳で、北海道にいたため影響は少なかったが、ニュースを見て、災害で失われたものは戻ってこないんだと漠然と感じたのを覚えている。今は携帯電話ですぐに連絡がとれるが、災害が起きてしまえば当たり前だったことがそうではなくなる。日ごろの人との交流や身近な人とのつながりはどんなときでも大切だと思った(国際文化学部2年・女子)
▼どのようなことがあったのか、どのような環境だったのかなど、当時の状況を伝えられるものを制作して伝えていく。完全に復興することは難しくても、新しい日常をつくっていくことはできる。そこに少しでも協力できたらいいなと思う(教養学部3年・女子)


大船渡こどもテレビ局〜10年経った彼らの今〜

文学部・文化社会学部広報メディア学科の五嶋正治教授のゼミが制作した「『大船渡こどもテレビ局2021』〜10年経った彼らの今〜」が、3月5、6、11日に神奈川県内11のケーブルテレビ局で1時間にわたって放送される(青森、岩手、長野、埼玉、千葉各県でも順次放送)。

同学科では2011年8月に、岩手県大船渡市で現地の子どもたちと一緒に番組を制作する「大船渡こどもテレビ局」を実施。12年3月からは震災特別番組を制作し、18年までこどもテレビ局の活動も継続してきた。

今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、現地での取材はできなかったが、「今までかかわってきた人たちとアーカイブの力を借りて、10年目の今だからこそできる番組を作れないかと考えました」と企画立案者の石井裕里恵さん(4年)は語る。過去の映像や卒業生らのインタビュー、こどもテレビ局初期メンバーで大船渡市在住の川畑朱子さんと刈谷瀬菜さんによる現地リポートなどで番組を構成した。

広報担当の河原理紗さん(3年)は、「現地からのリポートで、11年当時は中学生だった2人の成長や変わらない関係性、10年間かけて復旧してきた街の様子を見ることができます」と見どころを説明。五嶋教授は、「エンディングでは子どもたちや卒業生たちが活動に携わっていた当時と今の写真を紹介しています。彼らの成長が一番の復興といえるのではないでしょうか」と語り、石井さんは、「震災から前に進んでいる人々の姿が、視聴者の皆さんの一歩前に踏み出す力になれば」とまとめた。