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研究

2013/04/01

アワビの陸上養殖技術を開発

三保の地下海水を利用

静岡市三保地区の地下海水を使って陸上養殖したアワビを地元の新たな特産品にしよう―。海洋学部水産学科の秋山信彦教授の研究グループが、三保地区の地下海水を使ったアワビの陸上養殖技術を開発。2月には共同研究している企業が地元の飲食店に500個を試験販売したほか、3月22日にはこれまでの成果を静岡商工会議所の正副会長会議で報告した。

この研究は、静岡商工会議所などの支援を得て、秋山教授らが10年ほど前から取り組んできたもの。秋山教授は、「海水を使ったアワビの養殖は全国でも行われているが、地下海水を使った例はほとんどない」と話す。養殖には、三保半島の地下13メートルほどの地点からくみ上げた地下海水を使用。共同研究者の斎藤寛教授は「アワビが好む18度程度の水温で一年中安定している。ほぼ無酸素なため細菌もおらず、殺菌する必要もない」と語る。海水や海洋深層水を使った養殖では、海水を温める燃料代や殺菌の薬品代がかさむ。それをカットできるため、低コストで安全な食材を供給できる仕組みだ。

大量飼育を実現し、2月から試験販売も

養殖したアワビを市場で販売するためには、大量に安定供給する技術が必要となる。秋山教授らは、飼育棚の形状や水槽への空気の供給方法を工夫。天然ものよりも短い3年で7センチ程度まで育てられる技術を確立した。2月からは研究に協力している地元企業のヤマダユニア(株)が、7センチほどに育ったアワビ500個をキャンパスのある清水区内の飲食店4店舗に試験的に販売、各店舗で客に提供されている。「天然ものに比べて臭みもなく柔らかいので、お年寄りでも食べられる。しゃぶしゃぶにしてもおいしいと好評」(秋山教授)

地域の新産業に関係者も熱い期待
当初から研究を支援してきた、静岡商工会議所新産業課の赤堀弘英課長は「三保ならではの特産品になり得る食材。さらなる技術開発に期待している」と語る。研究グループでは、現在は購入してまかなっているアワビの種苗を地下海水で育てる技術も研究。また、アワビを飼育した排水は一般の海水よりも衛生的であるという特徴を利用し、その海水でカワハギやフグを養殖し、最後にナマコを飼育する複合型の養殖技術の開発にも取り組んでいる。「どれも人気の高級食材。この技術が完成すれば、地元の新たな産業を生むことにつながる」と赤堀課長。

秋山教授は「いずれは三保の遊休地を活用して大型の養殖施設を実現したい。そこで海洋学部の学生が技術を磨き、世界中で活躍する。そんな未来が来ることを期待しています」と話している。

 
(写真)飼育棚を持つ秋山教授。波状に工夫された飼育棚を組み合わせ、一度に大量のアワビを飼育できる

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