コラム
2021/01/01A.緊張感をもって基本の感染対策を徹底
医学部医学科総合診療学系救命救急医学 梅澤和夫 准教授
本格的な冬を迎え、新型コロナウイルス感染症の第3波が到来してしまいました。厚生労働省の発表によると、昨年12月21日には国内の陽性者数が20万人をこえ、死亡者数が3000人に迫るなど、感染は拡大し続けています。これまでは狭い範囲で点在していたクラスターが面のように広がり、真の意味で流行期に入ったといえるでしょう。第1波、第2波は異なり、いつどこで誰が感染してもおかしくない状況です。
「GoToトラベル」などの影響がないとは言いませんが、感染拡大の主な要因と考えられるのは気候です。気温が低下して湿度が下がる冬は、感染症が広がりやすい季節。空気が乾燥すると、会話や咳で口から飛び出した飛沫の水分が抜けるため、ウイルスが長時間、広範囲に漂ってしまいます。鼻や喉の粘膜も潤いが減り、ウイルスを排除しにくい状態になります。さらに、寒さによる体温の低下は免疫力を低下させ、部屋を暖めるために換気を怠りがちになるなど、感染リスクを高める条件がそろってしまうのです。
第1波、第2波では、大人数の会食や多数が集まるイベントでの感染が問題になっていましたが、現在は少人数で会食をした場合の感染も増えています。年末年始に仲間と楽しく食事をしたい気持ちはわかりますが、可能な限り避けてください。家族であっても静かに食事をし、食べ終わってからマスクを着けておしゃべりすることを推奨します。
今、最も大切なのは、これまで以上に緊張感をもって基本の感染対策を徹底すること。外出時のマスク着用、3密(密集、密接、密閉)の回避、こまめな部屋の換気、正しい手洗い、よく触れる場所のアルコール消毒などを励行しましょう。併せて、十分な睡眠やバランスのよい食事、3密を避けての適度な運動を心がけ、体調管理に気をつけることも重要です。
万一、感染が疑われる症状が出た場合には、自己判断で医療機関に受診するのは厳禁です。必ず各都道府県に設置されている相談窓口に問い合わせ、指示に従ってください。一人ひとりの意識と行動が、自分自身や家族はもちろん、社会を守ることにつながります。
(画像) 新型コロナウイルス陽性者数の推移グラフ
12月21日現在の陽性者は累計で20万658人(空港検疫等含む)。10月29に10万人をこえてから2カ月足らずで20万人をこえた(厚生労働省ホームページより)
うめざわ・かずお 1990年東海大学医学部医学科卒業、97年熊本大学大学院医学研究科修了。博士(医学)。専門は細菌学、救急医学、災害医学。
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