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付属諸学校

2012/02/01

第五高校耐寒行進 24時間で80キロを歩く

気力と体力の限界に挑戦

寒さに耐え、仲間と協力しながら長距離を歩き続ける―。約80キロを24時間かけて歩く付属第五高校(宗像市)の耐寒行進が、40回の節目を迎えた。1月13日から14日にかけて行われたこの催しに本紙記者が同行。生徒たちの成長を追った。


第五高の耐寒行進は1972年、生徒の忍耐力と精神力を高めることを目指して始まった。当時中心となって企画した小山勝則元教諭は、「一つのことを継続する大切さを実感してもらいたいとの思いを込めた」と振り返る。耐寒行進への参加は自由。クラスや部活の仲間同士で参加する生徒も多い。第五高を出発した後、アップダウンの激しい山道や寒風吹きすさぶ海岸沿いなど80キロを歩いて再びスタート地点に戻る。「約1時間半ごとに休憩はあるものの想像以上に過酷」と運営責任者の笠井貴伸教諭は言う。

期待と不安を胸に学校をスタート

今年は参加を希望した男子42人、女子32人の計74人が挑戦。35年ぶりに参加した武富正治校長も一緒に歩く。1回目から使われている伝統の耐寒行進旗を持つ生徒会長の森永久絵さん(3年)を先頭に、13日の午後4時20分に出発した。的場明日香さん(1年)は、「母も五高出身で、耐寒行進の話はいつも聞いていた。つらいと思うけど、自信をつけたいと思って参加した」と語る。

出発して5、6時間はカメラに向かってポーズをとったり、友人と談笑しながら軽快に歩く。「今年で3年目。休憩所までの距離はだいたいわかるので、体力を計算しながら歩いています」と余裕を見せる生徒もいる。だが夜も更け、気温が下がるに従って口数が少なくなる。足の痛みに加えて、激しい睡魔が襲う。涙ながらにリタイアする生徒も出てきた。「最初はちょっとした足の痛みでも、歩くうちにじわじわとひどくなっていく。それが体力と気力を奪っていってしまうんです」と先導役の平田恒敏教諭は語る。「気持ちは元気なのに体がついていかないんです。気力で前に進むしかない」と田村詩織さん(1年)は顔をしかめた。

夜明けを迎えるころには足を引きずり、立ち止まってしまう生徒も。それでも「次の休憩所まで一緒に行こうよ」「あめ食べる?」と励まし合いながら、長く続く直線道路や坂道を一歩ずつ歩んでいった。

やり遂げて得た経験を後輩にも伝えたい

迎えた14日の午後4時16分。リタイアした7人を除く67人の生徒が高校の正門をくぐり、ゴールを果たした。終了式では武富校長が、「皆さんと歩き、感動をもらいました。ありがとう」とあいさつ。生徒たちは抱き合って、互いの健闘をたたえた。越智友輔さん(3年)は「一つのことをやり遂げる難しさや、一緒に頑張ってくれる友達のありがたさを実感した。この経験を後輩にも伝えたい」と痛む足をさすりながら、笑顔で語っていた。

※写真は、第1回目から引き継がれてきた耐寒行進旗。毎回参加した生徒数が書き加えられている。かつては生徒が全行程を持って歩いていたが、長年の風雪で傷んでしまったため、現在は出発とゴールのときのみ使われている。右は30回記念で作られた耐寒行進旗。

【記者の目から】ゴールの先にあるものとは?
「なぜこんなに歩くのだろう?」。耐寒行進のスピードは時速約5キロ。予想よりも速く、すぐに汗が吹き出し、靴下が鉛のように重くなる。20代前半だが、運動不足の記者はついていくのがやっと。頭の中には根本的な疑問が浮かんでいた。

日が暮れると気温が下がり、手足が寒さでしびれてくる。強烈な空腹にも襲われた。記者の様子を見かねたのか、生徒たちがあめやチョコを手渡してくれる。涙がこぼれるほど、おいしかった。いくつもの坂道を越えた64キロ地点、情けない話だが体が限界を迎え、もう一歩も進めなかった。まさか自分がリタイアするとは。関係者の協力で取材はやり遂げたが、行進の厳しさは、想像をはるかにこえていた。

「この経験を人生の支えにしたい」。ゴール後、誇らしげに語る生徒たちの顔を見て、冒頭の疑問が解けたような気がした。 (大塚)


翔洋高と仰星高でも多くの生徒が参加
学園では第五高のほか、付属翔洋高校(静岡市)と付属仰星高校中等部(枚方市)で生徒が長距離を歩く催しが行われている。付属翔洋高校では、昨年10月28、29日に静岡県御前崎から高校までを歩く「66.6キロ完全踏破」を開催した。希望者71人が参加。28日の朝に出発し、24時間かけて翔洋高まで歩いた。1月21日に京都市内から校舎までの40キロで行われた仰星中の耐寒行進には319人が参加したが、天候不良のため20キロ地点で中止となった。

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