特集記事一覧

教育の現場から
正しい知識と理解で冷静な行動を

【特集】新型コロナウイルス対策2019年末に中国・武漢市から拡大した新型コロナウイルス感染症「COVID-19」。世界保健機関(WHO)によると、3月27日時点の世界の感染者数は46万人、死者数は2万人をこえている。新型コロナウイルスとは何か、どう予防するのか、キャンパスライフで留意すべきことは何か――東海大学医学部付属病院臨床検査科診療科長で院内感染対策室長を務める医学部の宮地勇人教授と、健康推進センターの宮﨑誠司所長(体育学部教授)に聞いた。   医学部・宮地教授に聞く 東海大学医学部付属病院 臨床検査科診療科長・医療監査部院内感染対策室長宮地勇人教授(医学部基盤診療学系臨床検査学)専門は臨床血液学、臨床検査学、遺伝子検査 学、感染症学。 コロナウイルスは人や動物に感染症を引き起こすウイルスです。人に感染するものは6種類あるとされてきましたが、そのうち4種は風邪の原因になるもので、多くの人が6歳までに感染し、そのほとんどが軽症です。重篤な呼吸器疾患を引き起こすコロナウイルスは、2002年に発生したSARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)と12年以降に発生しているMERS(マーズ:中東呼吸器症候群)の2種類が知られています。ウイルスと同様に人に感染する微生物には細菌もありますが、ウイルスは細菌と異なり、自らタンパク質や核酸、エネルギーを作って分裂・増殖することができません。そのため宿主となる動物の細胞に侵入し、その力を利用して増殖します。SARSはコウモリ、MERSはヒトコブラクダが宿主で、遺伝子の変異により人に感染するようになったと考えられています。COVID-19も、コウモリが起源である可能性が指摘されています。見えてきた COVID-19の特徴風邪はゆっくり発症して微熱や鼻水、喉の痛み、咳といった局所症状が数日続きます。インフルエンザは急激な高熱、悪寒、関節痛などの全身症状の後に局所症状が現れます。これに対し、COVID-19は強い脱力感や筋肉痛があり、症状が長く続くのが特徴です。こうした症状が出る24時間から48時間前でも検査で陽性反応が出ることがありますが、WHOによると、この段階では他人にうつす感染源となる頻度は低く、感染してから5、6日後に症状が出ると人に感染しやすくなるとされています。発症から1週間ほどは風邪に似た症状が続きますが、約80%は軽症のまま治癒し、20%は肺炎症状が悪化。2、3%が人工呼吸管理が必要になるなど重症化・重篤化します。インフルエンザは小児の感染率が高いのに対しCOVID-19は低く、糖尿病や腎臓病、心臓病などの疾患を持っている人や高齢者の重症化が報告されています。死亡率は最終的に約2%かそれ以下になると推測されます。現時点で考えられる主な感染経路は、感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)とともに放出されたウイルスを口や鼻から吸い込む飛沫感染と、ウイルスが付着した場所に触ったり握手したりしてうつる接触感染です。厚生労働省は、感染リスクが高いとされる「換気の悪い空間に多くの人が密集し、近距離での会話や発声が行われる場所」を避けるよう注意を促しています。適切な予防実践で 安全性を確保予防のために必ず実践してほしいのがマスクの着用とこまめな手洗いです。外出後は手指を石鹸で洗うか、70%以上のアルコール製剤で消毒します。ウイルスは目や鼻、口の粘膜から侵入するので、手洗い前に顔を触るのも避けましょう。携帯電話やドアノブなど、頻繁に手で触る場所を消毒し、部屋を清潔に保つことも大切です。中国では3月にピークをこえて5月には収まるとの希望的予測が出され、各国も数カ月遅れで同様の経緯をたどるという見方があります。また、ウイルスの変異による根絶や、季節性のウイルス感染症として定着する可能性も考えられます。しかし、予断は許しません。大切なのは適切な知識と理解を持って、「正しく恐れる」ことです。十分な感染予防を実践し、安全性を確保してください。※参考文献『感染症の科学―うつるしくみと予防―』宮地勇人著(東海大学出版会)   日々の体調と向き合う 不安なときは各校舎健康推進室へ

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