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2020年7月1日号
最前線で新型コロナウイルス感染症と闘う
医学部付属4病院が連携し総力をあげ

2019年末に中国・武漢市から広がり、今年2月以降に東京都や神奈川県などの大都市を中心に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症。医学部付属4病院(付属病院、東京病院、大磯病院、八王子病院)では、「医学部付属病院部門対策本部」を設置して連携し、総力をあげて最前線で感染患者らの対応にあたった。各病院の5カ月にわたる格闘の日々を、2号にわたり紹介する。

【付属病院】高度医療を提供しながら 重症感染患者にも対応
伊勢原校舎にある付属病院では厚生労働省の要請を受け、2月7日から新型コロナウイルスの集団感染が確認された横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」にDMAT(災害派遣医療チーム=下記事参照)を派遣した。

チームの報告をもとに対応を協議し、14日には、伊勢原校舎・付属病院本部の飯田政弘本部長をトップとする4病院合同の「医学部付属病院部門対策本部」を設置。さらに、実動部隊として各病院に「調整本部」を設けた。

付属病院の調整本部では、本部長を務める高度救命救急センターの守田誠司所長(医学部教授)を中心に、あらゆる視点から課題を検討。外来診療、病棟診療、院内感染対応をはじめ、人工呼吸器の管理、検査体制、治験薬の試用、医療倫理、物資管理など18に及ぶワーキンググループを立ち上げた。

3月下旬から国内の感染者が急激に増加。4月7日には東京都や神奈川県など7都道府県に対し、政府による緊急事態宣言が発出された。
 
同病院は3月25日、神奈川県から重症の新型コロナ陽性患者を受け入れる「高度医療機関」に指定され、院内感染対策をさらに徹底。病院棟への出入り口を1カ所とし、面会者の立ち入りを制限した。また、発熱など感染が疑われる症状がある患者を区分するため、事務職員が交代で外来患者を確認。患者自身がモニターを介して検温できるサーモグラフィーを入り口に導入した。

感染爆発を想定し 病床とスタッフを確保

4月10日、神奈川県内の重症感染者が約40人、中等症者が約70人に達すると、対策本部の副本部長を務める渡辺雅彦病院長(同)は、「1週間から10日で感染者の爆発的拡大が起こる可能性がある」と推測。病床やスタッフを確保するためのシミュレーションを実行に移し、緊急以外の入院や手術を延期するよう各診療科に要請した。

「医療従事者に感染者などが出た場合、スタッフの10%が業務不可能になると予測。さらに、重症患者を診療するスタッフとして10%、他の付属病院への支援に5%が必要になるとすると、25%が一般の医療に対応できなくなる。そこで、全804床から600床程度(約75%)に稼働を抑え、スタッフに余裕を持たせようと考えました」
 
付属病院は特定機能病院としてさまざまな高度医療を提供するとともに、急性期医療の中核をも担う。「その責務を果たしながら、陽性患者に対しても万全の対策を講じなければならない。万一、院内感染が広がれば、医療崩壊を起こしかねません。最悪の事態を防ぐためにはやむを得ないと判断した」と振り返る

重症者は救命救急科が担当。救急専用の重症治療室22床を新型コロナ専用とし、集中治療室と同じレベルの設備と環境を整備した。さらに13B病棟を中等症者専用とし、重症者用と合わせて約50床を確保。中等症者の治療には呼吸器内科と総合内科の医師があたり、他科からの応援体制を構築するとともに、検査体制も整えた。

早期準備と情報共有で 難局を乗りきる
調整本部では守田所長を座長に、毎朝ミーティングを実施。入院患者の状況や病床の利用状況、体調を崩したスタッフの自宅待機状況など、詳細にわたる最新情報を共有し、対応を話し合ってきた。

「災害や救急の現場では、正確な情報の収集と共有が不可欠。伊勢原校舎の全教職員に共通の危機意識を持ってもらえるよう努めました。早期に対策本部と調整本部を設置したことで、あらゆる事態を想定した綿密な計画・準備が進み、難局を乗りきれた」と語る。
 
5月25日、政府は緊急事態宣言を解除。渡辺病院長は「まだ予断を許さない」としながらも、13B病棟を一般に戻し、病床稼働率の回復を進めている。6月24日までに受け入れた陽性患者は23人。同日現在も重症者1人が入院中だ。

飯田本部長は、「有効な予防法や治療法が確立されていない中、崇高な志と高いモチベーションを維持し続けて対応している医療従事者と彼らをサポートする職員を誇りに思います。松前達郎総長や松前義昭理事長をはじめ学園全体から応援をいただきました。学園の一員として社会に貢献できたことを、ありがたく思っています。今後もさまざまな事態に対応できるよう準備し、人々の命と健康を守るという使命を果たしていきたい」と話している。

【クルーズ船にDMAT派遣】患者の診察や搬送に従持

付属病院高度救命救急センターの医師、看護師と業務調査員からなるDMAT(災害派遣医療チーム)は2月7日、横浜港の大黒ふ頭に設置された現場指揮所に到着。クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」に乗船していた陽性患者の搬送調整や診察、医療機関への患者の搬送に取り組んだ。10日には別隊が、船内での感染未確認者のスクリーニングや夜間の医療救護に従事。さらに、翌日から26日まで、神奈川県庁本庁舎に設置されたDMAT調整本部で患者の医療機関への搬送調整にあたり、計12隊、延べ33人が活動した。

DMATは、厚生労働省が認めた専門的な研修や訓練を受けた医療従事者により組織されるプロフェッショナルチーム。同病院は神奈川県のDMAT指定病院として、2011年3月に発生した東日本大震災や16年4月の熊本地震の被災地などでも活動している。

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(写真上から)
▼調整本部のミーティング。最新情報を共有して対応を協議している
▼職員が外来患者の発熱などの症状を確認
▼2月7日、横浜港に向けてDMAT第1陣が出動