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特集

2011/11/01
教育の現場から
話題の授業や地域・企業と連携した課外活動など、東海大学の特色ある教育現場に迫ります。

福岡・熊本で高大連携の取り組み

高校と大学の枠を超えて専門知識を生かした教育を

幼稚園から大学院まで、幅広い教育機関を持つ学園の特性を生かして学ぶ─。付属第五高校と福岡短期大学の「東海キャリアチャレンジ」、付属第二高校と熊本校舎の「Design and Create」が始動している。高校と大学の枠を超えた2つの連携を紹介する。

【福岡】高校と違う学びを体験 東海キャリアチャレンジ
「東海キャリアチャレンジ」は、第五高の3年生(特進クラスを除く)174人が福岡短大の授業を週1回、体験受講する取り組み。校舎が隣接する利点を生かして交流をより深めようと、今年4月から試行的にスタートした。

「中国語」「韓国語」「情報」「ITパスポート試験」「日商PC検定(文書作成)3級」の5コースがあり、福岡短大の教員が講義を担当。生徒たちは興味のあるコースを選択して学んでいる。

短大側の責任者を務める矢原充敏教授(情報処理学科)は、「一段上の学びを早期に体験することで、キャリアアップにつなげてほしいと考えています。生徒たちには授業選択時に、将来の夢や目標を意識して選ぶようにと呼びかけました」と話す。

今年度は単位認定などは行わないが、来年度からは週2時間の「総合的な学習」として、3年生のカリキュラムに盛り込む予定。第五高の教務主任・竹田清和教諭は、「生徒たちにとって授業の内容をすぐに理解することは難しいと思いますが、大学ではこんなことも学べるんだ、勉強は楽しいんだと感じるきっかけになれば」と話している。

夢や目標を持って 将来につながる勉強を
「テレビで韓国ドラマを見ていて、私もしゃべってみたいなと思ったことがきっかけ」と話すのは、韓国語を選択した上野紗弥香さん。秋学期2度目の授業となった9月15日には「動詞と形容詞の活用の仕方」を学んだ。

林鍾大教授(国際文化学科)の解説を聞き、練習問題や発音にも挑戦。「最初は簡単そうに見えましたが、実際に学んでみると文法などの決まりごとが多くて難しい。でも、大学の授業を受けるのは新鮮で楽しい。進学しても韓国語の勉強を続けたい」と話す。

情報の授業を選択した堀口元気さんは、「将来、学校の事務の仕事に就きたいと思って調べたら、パソコンの技術は必須と書いてあった。授業ではホームページを作ったりするのが面白く、あっという間に時間が経ってしまう」と目を輝かせる。

「進路選択の材料にするのはもちろん、卒業後もここでの学びを生かして知識を深めてほしい」と第五高の武富正治校長は期待を寄せる。

一方で来年度のカリキュラム化に向けて福岡短大の西野仁学長は、「学びたいコースがないという生徒の声や、語学クラスの少人数化を希望する現場の声もあります」と課題を挙げる。「福岡にある“一つのキャンパス”として生徒や学生を育てていくために、今年度の反省を踏まえて発展させていきたい」

【熊本】生徒と力を合わせて 中庭にフォリーを制作
熊本校舎で活動しているチャレンジセンターの「Design and Create」が、隣接する付属第二高校の生徒と力を合わせ、同校の中庭にフォリーの制作を進めている。

18世紀にイギリスの庭園などで流行した装飾用の建物であるフォリーは、機能を持たないオブジェのような建築物の総称。人が中に入ることができる彫刻とも称される。産業工学部建築学科の学生を中心に構成する同プロジェクトでは、第二高が今年創立50周年を迎えることを記念して、5月から作業を開始した。

まず初めに行ったのが、第二高生とのデザインワークショップ。生徒の案内で中庭を見学した後、3班に分かれてデザイン案を話し合った。「『寂しい感じがする』『もっと人の集まれる場所にしたい』など、生徒の中庭に対するイメージをもとに、一緒にデザインを考えていきました。しかし、作りたいものがあっても、実際に形にするとなると難しい。できるだけ生徒の声を生かせるように、紙に絵を描いたり、模型を作ったりしながら修正して形にしていった」と、プロジェクトリーダーの角田翔さん(産業工学部4年)は振り返る。

放課後に行った全8回のワークショップ以外にも、班ごとに集まってデザイン案を検討。6月22日の講評会でプレゼンテーションを行い、投票の結果、「絆」をテーマにしたデザインに決定した。

試作品の制作に苦戦 雨で作業の遅れも

デザイン案をもとに大学生が設計図を起こし、プロジェクトアドバイザーの村上祐治教授(産業工学部)の指導のもと、約3カ月かけて試作品を完成させた。部品を切り出すところまでを大学生が担当し、10月22、23の両日、中庭で組み立てを行った。

「ワイヤーのかけ方一つで傾いてしまったり、図面上では分からないことも多くあり、思った以上に時間がかかりました。高校生は皆理解が早く、1本目を立てた後は自分たちで次々と作業を進めてくれて助かりました」と角田さん。

それでも、22日はあいにくの雨でほとんど作業ができなかったため、5本立てる予定のアーチが2本しか設置できなかった。学生たちは完成を目指して、30日にもう一度作業を行う予定だ。(10月26日記)

 
(写真上から)
▽韓国語の授業を受講している生徒たち。黒板に書かれた練習問題に挑戦する
▽情報の授業では、1人1台のパソコンを使用。パソコンの使い方からホームページ用のHTMLの入力まで、内容は多岐にわたる
▽紙に絵を描きながらデザインを考える
▽完成予想図
▽組み立てられたフォリーの一部。雨にも強く肌触りもよいことから、部材にはヒノキを使用している

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