News:研究
2021年7月1日号
iPS・ES細胞の神経分化制御遺伝子を発見
【医学部医学科】
神経疾患の再生医療・創薬加速へ

医学部医学科基礎医学系分子生命科学の福田篤講師(総合医学研究所、マイクロ・ナノ研究開発センター)らが、ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)の神経分化を制御する遺伝子を発見。論文が日本時間6月9日に、アメリカの科学雑誌『Cell Reports』オンライン版に掲載された。

日本医療研究開発機構(AMED)の平成31年度「再生医療実現拠点ネットワークプログラム(幹細胞・再生医学イノベーション創出プログラム)」などの採択を受けた研究。

ヒトiPS・ES細胞は体を構成する多様な細胞に分化できる人工物で、再生医療などに利用されている。女性由来の細胞では性染色体(X染色体)に異常が起こることが報告されているが、原因は特定されていない。福田講師らは、X染色体異常との関連が示唆されていた遺伝子「非コード長鎖RNA・XACT(ザクト)」に注目。クリスパー・キャス9という遺伝子改変技術を駆使し、XACTを切除した細胞と残した細胞を比較して機能を解析した。その結果、XACTは女性由来のiPS・ES細胞におけるX染色体の異常に関与していないことを解明。さらに、男女を問わず、iPS細胞における神経分化を抑制していることも明らかにした。

「この結果は、XACTの機能抑制によってiPS・ES細胞から効率的に神経細胞を作製できる可能性を示しており、神経疾患における再生医療や創薬開発の加速が期待される」と福田講師。

今年4月には、「革新的遺伝子量補正法による性特異的X連鎖難治疾患iPS細胞を用いた脳神経病態モデリングに関する研究開発」もAMEDに採択された。「こちらも創薬開発につなげ、難病の患者さんを救いたい」と意欲を見せている。

 
(写真)福田講師