News:研究
2018/07/01 「Yu-navi」プロジェクトに参画
2018/07/01 赤外線レーザー照射技術研究などに評価
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2018年7月1日号
「Yu-navi」プロジェクトに参画
“入浴のシートベルト”で事故予防

東海大学と東京都市大学、株式会社博報堂、株式会社APCの合同プロジェクト「Yu-navi」の基本構想が、5月25日から27 日まで開かれた「おんせん県おおいた 世界温泉地サミット」で発表された。専用デバイスで一般市民のデータを収集・解析し、安全で適切な入浴のナビゲートを目指すもの。サミットの分科会に海洋学部の斉藤雅樹教授が登壇し、プロジェクトの調査結果を報告した。

「Yu-navi」は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)・未来社会創造事業の「世界一の安全・安心社会の実現―ヒューメインなサービスインダストリーの創出―」領域に採択された研究課題「自発・自律型エビデンスに基づくBathing Navigationの実現」(研究代表=東京都市大学人間科学部・早坂信哉教授)の一環で研究が進められている。

温泉地の振興について研究する斉藤教授は、「温泉施設での調査は難しく、温泉医療の研究はそもそも十分ではないうえ、年間で1万9000人にのぼる入浴関連の事故死は主に個人宅で発生することから、その状況や要因がはっきりとわかっていません」と語る。

そうした課題を解決するために、「Yu-navi」では入浴に関する情報をチームが開発しているアプリケーション等で収集。大学がデータを分析し、専用デバイスを通じて利用者一人ひとりに安全で適切な入浴をナビゲートする。

市民参加型の調査 大量のデータが示す知見
分科会では斉藤教授が、利用者に適した入浴方法の指示を出すIoTロボット「fuuron(フーロン)」の試作機を紹介したほか、その実用化に先立ち、大分県や大分市の職員ら3900人を対象に実施したSNS上でのアンケート結果を報告した。

アンケートでは入浴に関するコメントを分析し、入浴時間と湯温が体調の変化にどう関係するかを調査。これまでの基礎研究ではぬるめの湯が交感神経の活動を抑えてよい睡眠につながるとされているが、今回の調査では高めの湯温のほうが「眠れる」とコメントした人が多く、温泉利用者の主観を大量に集めることで新たな知見が得られる可能性を示唆した。

今後は被験者を増やし、事故の防止や原因の特定につなげていく。斉藤教授は、「入浴事故死の原因はヒートショックが多いとされていますが、入浴データを集めることで解明につながるはず。自ら予防してもらうために、Yu-naviが入浴時の「シートベルト」になってほしい」と語った。
 
(図)「Yu-navi」プロジェクトの相関図。分科会で試作機が紹介された「fuuron」は現在協業パートナーを募集しており、2019年の製品化を目指す。また、プロジェクトでは専用ウェアラブルデバイスの開発も計画されている