特集:教育の現場から
2019年3月1日号
東日本大震災から8年
防災の大切さを伝える
2011年3月11日、日本中を震撼させた東日本大震災。あれから8年を迎えようとする今も、東海大学では多くの学生や教職員が、防災・減災の大切さを伝えようと活動を続けている。18年は、6月の大阪府北部地震をはじめ平成30年7月豪雨(西日本豪雨)や9月の北海道胆振東部地震など、各地で多くの自然災害が発生した。いつ、どこで起こるかわからない災害への対策を伝える地域連携活動に迫った。

災害から身を守るには 3・11に特別番組を放送

自然災害から身を守るには――。文化社会学部広報メディア学科によるメディアプロジェクトテレビ班が、「東海大学特別番組2019『未来(あす)へ』〜共に生きていく〜」を制作。3月11日午後1時から2時間にわたり、湘南ケーブルネットワークをキー局として神奈川県下の8ケーブルテレビ局で同時放送する。
 
テレビ班では、11年3月に発生した東日本大震を受けて12 年から毎年、震災特別番組を制作してきた。被災地の現状やキャンパスのある湘南地域での防災対策について取材を重ね、16年からは平成28年熊本地震の被災地にも足を運び、現地の声や復興への歩みを伝えてきた。
 
8回目の特番制作に臨んだ学生たちは、昨年10月から準備を始めた。企画会議の中で総合プロデューサーを務める石井裕里恵さん(文学部2年)らは、「私たちが学ぶ湘南校舎はもちろん、日本のどこに住んでいても、いつ災害に見舞われるかわからない。防災について本気で考えていなければ、生き抜くことが難しくなっているのではないか」と話し合い、今回の番組テーマを「生きる」に決めた。
 
番組内では、災害で電気を使うことができなくなったとき、どのように食料を確保するかについて、電気のなかった時代にヒントを得ようと文学部歴史学科考古学専攻の宮原俊一講師にインタビューした様子や、平塚市防災危機管理課の担当者とともに、同市の海岸で津波警報が発令された際の避難経路シミュレーションと避難場所などを紹介する予定。
 
学生たちは、「さまざまな視点から自然災害を見つめ直した今回の番組を通して、あらためて防災・減災の大切さや必要性が、多くの人に伝わればうれしい」と語っている。

中学校で防災教室 身近なものがどう役立つ?

湘南校舎で活動するチャレンジセンター「熊本復興支援プロジェクト」が、1月18日に秦野市立大根中学校で「防災教室」を開催した。同プロジェクトでは平成28年熊本地の被災地を訪ね、現状を学びながら、湘南校舎周辺でも大学生や地域住民らを対象にした防災イベントを開いている。
 
当日は大根中の2年生3クラスの約100人が参加。メンバー14人が各クラスに分かれて、教壇に立った。
 
アイスブレイクを兼ねた防災クイズ「リアル防災ゲーム」では、生徒たちにはさみやテープ、金属バット、スリッパなどのイラストが書かれたカードを配布。「友達と一緒にいるときに地震が発生しました。家具が倒れてきて挟まってしまった友人を助け出すためには何を使う?」「避難所へと移動中に寒さで凍えたおばあさんを見つけました。温かくしてあげるには何を使う?」といった問題を出題。生徒たちは4人から5人のグループに分かれて答えを考え、選んだ道具をどのように使うのか発表した。
 
その後、熊本地震の被災地で撮影した写真などをテレビに映しながら、「いつ地震に見舞われるかわからないということを、皆さんにも真剣に考えてほしい」と訴えた。
 
すべてのプログラムを終えるとメンバーが生徒に「くまふく防災プログラム修了証」を授与。参加した中学生は、「大学生のお話はとてもわかりやすく、引き込まれた」「身近なものでも工夫すれば役立つことを学べた」と話していた。

地域の講習会に協力 クイズで対処法を紹介

工学部の梶田佳孝教授と情報理工学部の内田理教授らが、2月2日に神奈川県立平塚商業高校で開催された平塚市中里地区や大磯町高麗地区などによる「自主防災講習会」の運営に協力した。東海大学連合後援会の研究助成金・地域連携部門の採択を受けた研究課題「防災・減災・まち歩きアプリの利活用による地域連携と防災教育への展開」による活動の一環。クイズや防災グッズの紹介を通して、災害が発生した際の身の守り方を伝えた。
 
当日は地域住民ら約50人が参加。梶田教授の研究室に所属する学生や大学院生もアシスタントとして参加し、「避難所に行く際に注意したほうがいいことは?」「水害が発生したときにはどのように対応するべき?」といったクイズを出題。参加者に意見を聞いたり、スライドで説明をしたりしながら、事前の準備の大切さを訴えた。さらに内田教授らが開発中のTwitterを利用した災害情報共有のアプリケーション「DITS」や「DIMS」についても説明。
 
参加した住民は、「災害時の情報共有の必要性について理解が深まった」と語り、梶田教授は、「実際に避難する場所で講習会を開くことは、参加者がより現実味を持って防災について考えるきに所属する学生や大学院生もアシスタントとして参加し、「避難所に行く際に注意したほうがいいことは?」「水害が発生したときにはどのように対応するべき?」といったクイズを出題。参加者に意見を聞いたり、スライドで説明をしたりしながら、事前の準備の大切さを訴えた。
 
さらに内田教授らが開発中のTwitterを利用した災害情報共有のアプリケーション「DITS」や「DIMSについても説明。 

参加した住民は、「災害時の情報共有の必要性について理解が深まった」と語り、梶田教授は、「実際に避難する場所で講習会を開くことは、参加者がより現実味を持って防災について考えるきっかけにもなったと思います」と話した。

災害・環境変動監視システム 見本市で成果をアピール

情報技術センターの長幸平所長(情報理工学部教授)と同学部の内田理教授を中心とした「東海大学グローカル・モニタリングプロジェクト」が、2月6日から8日までパシフィコ横浜で開催された工業技術・製品の見本市「テクニカルショウヨコハマ 2019」に出展した。同プロジェクトは、広域的な災害監視を行うリモートセンシングと、Twitterを利用したローカルな災害情報を共有するアプリケーション(DITS・DIMS)、それらを有機的に結びつけた災害・環境変動監視システムを研究。見本市などで積極的に成果を発信している。 

ブースには、連日多くの企業の研究者らが訪れ、今後の展開などについて意見交換。7日には長所長と内田教授が出展者セミナーで講演した。長所長は、「実利用に向けて、国内外の各機関と連携しながらシステムの普及・高度化を進めたい」と語った。
 
7日と8日に同会場で開かれた「第23回『震災対策技術展』横浜」では、内田教授らが開発している「DITS」を紹介。ブースでは自治体職員らがアプリを体験し、「旅行者にも有効」「簡単で日常的に利用できるので、緊急時にもすぐに使える」と感想を話していた。

防災情報対策を活用し道路通報システムを開発

情報理工学部の内田理教授の研究グループが、災害情報共有のアプリケーション「DITS」と投稿を地図上に表示するアプリ「DIMS」を活用し、平塚市の道路通報システム「みちれぽ」を設計開発した。3月1日から運用が開始される。
 
平塚市では市民から年間約2000件の道路補修要望が寄せられているが、通報手段は電話や窓口、メールに限られていた。近年、各自治体でスマートフォンを使った道路通報システムの活用が広がっており、平塚市でも導入を検討。東海大学と連携し、内田教授が昨年5月から開発に取り組んできた。
 
2月13日には、平塚市役所で行われた落合克宏市長による定例記者会見の席上で報道陣向けにシステムの概要を発表。落合市長が、「破損現場の写真やGPS機能を活用して、状況や場所の正確な把握につなげ、迅速な初期対応を図りたい。また、スマホを使うことで、若年層の利用も期待できる。市職員が市内の高校や大学に出向き、投稿の有用性などを説明したい」とシステムの利点を説明。
 
同席した内田教授は、「このシステムは誰でも簡単に操作することができ、投稿内容はほかの市民も確認し共有もできる。投稿が市に対する一方的な通報となるのではなく、市民と行政がより連携して『安心安全なまちづくり』につながることを期待しています」と語った。

 
(写真上から)
▼平塚市防災危機管理課の職員らをスタジオに招いて収録
▼2年生の「総合」の授業を使って教室を開いた
▼大学院生や学生もアシスタントとして参加
▼「テクニカルショウヨコハマ」で講演する長所長
▼「みちれぽ」の概要や利点を説明した落合市長(右)と内田教授