Column:Interview
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2017年2月1日号
【卒業生訪問!】川口好美さん&和田芽衣さん
東海大学の卒業生の中から活躍する人を訪ねる本コーナー。今回は、「第60回群像新人評論賞」の優秀作に選ばれた川口好美さんと、日本写真家協会の「2016年第12回名取洋之助写真賞奨励賞」を受賞した写真家の和田芽衣さんに聞いた。


読んで考え、書き続ける
川口好美さん(文学部2009年度卒)

文芸創作学科の卒業生、川口好美さんの評論「不幸と共存│シモーヌ・ヴェイユ試論」が、文芸批評家の登竜門といわれる講談社の「第60回群像新人評論賞」の優秀作に選ばれ、『群像』12月号=右下写真=に掲載された。応募総数179編から2作品が優秀作となった。

川口さんは、付属仰星高校中等部と同高校の出身。大学を迷っていたとき、担任の教諭に「自由な雰囲気だから」と勧められ、同学科に進学した。

「『順当に就職するのもいいが、それだけが人生ではない』という学科の気風がうれしかった。作家としても活躍している先生方と語り合う中で、読むことと書くことの楽しさを知り、同時にその厳しさも学びました」

卒業後は北海道で畜産業に従事しながら、「作家の基礎になる勉強を」と考え、ひたすら哲学書を読んだ。その過程で興味を持ったのが、20世紀前半に宗教家、社会運動家などとしても活動したフランスの哲学者、シモーヌ・ヴェイユだ。同賞への応募を目指して執筆を始めたのは昨年の夏。ヴェイユの著作や関連文献を丹念に読み、その思想の根源や変遷をひもとく作業に没頭した。

「もう書けないと思っても、翌日になると書きたくなる。そのたびに、自分は考えて書くことが好きなのだと納得し、執筆を続けた」と振り返る。

「受賞を聞いたときには、ほっとしました。常に刺激を与えてくれた先生方や、協力してくれ
た家族に感謝しています」と川口さん。「自分が選んだテーマに興味を持ってもらえるような評論を書き続けたい」


娘(病)とともに生きていく
和田芽衣さん(文学部2004年度卒)

「治療の様子もファインダー越しに見ると距離が置けました。娘の病気がわかった直前には母を亡くし、精神的にも苦しい時期でしたから、写真には支えられました」

心理・社会学科を卒業した和田芽衣さんは、北里大学での修士課程を経て、心理士としてがん患者の臨床に携わっていた。しかし2011年に生後9カ月の長女が根治不可の先天性の難病であることが判明。生きがいでもあった仕事を辞め、中学時代から趣味だったカメラを本格的に学び、娘の闘病生活を写真に収めることを決めたという。

名取洋之助写真賞奨励賞受賞作品のテーマは『娘(病)とともに生きていく』。発症から撮り続けてきた2万枚近い写真の中から、賞の規定である30枚を選び出した。「見た人が『かわいそう』という気持ちだけでは終わらないように、淡々とこなしてきた時間の、他人には伝え難い雰囲気を写真に込めました」。

現在は3人の娘たちの母として子育てに奮闘する一方、埼玉県飯能市で小児難病児と親のために活動する団体「ニモカカクラブ」を運営する。写真家としても精力的に活動しており、今は医療福祉従事者にカメラを向けているという。

「病気の子どもやその家族を陰で支えてくれる人を応援したい。生き生きと働いている人たちを写真に撮って伝えることで、『この仕事、やりがいがありそうだな』と思ってくれる人が増え、患者さんや家族、ひいては医療福祉業界全体がよくなってくれることを願っています」 (取材=小野哲史)