Column:Interview
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2019年7月1日号
日本建築学会の新人賞に輝く

山下貴成建築設計事務所 山下貴成さん
(2001年度工学部建築学科卒)


富士山をバックに緩やかな曲線を描く木の大屋根。そのひさしに包まれた園庭や保育室で園児が自由に遊び、併設されたラウンジでは、隣接する高齢者施設の利用者や地域の住民が談笑する―。山下貴成さんが設計した山梨県富士河口湖町の「河口湖とらのこ保育園」は、「子どもの安全」を最優先して閉鎖されがちな保育園を「皆が集える場所」に変貌させた。山下さんはこの作品で日本建築学会作品選集新人賞を受賞。世界の若手建築家が初めて手がけた作品の中から優秀なものに贈られる「Bauwelt Award 2019 :First Works」も獲得した。「独立の契機になった作品で、一生懸命にやった成果を評価してもらえたことがうれしい」と笑顔を見せる。
 
ガラス面を大きく取り、さまざまな材料を外壁に使うことで変化を持たせた。「卒園後も子どもたちの思い出になれば」と、壁の一部には絵本作家のミロコマチコさんにトラなどの絵を描いてもらい、大屋根には大きな曲線を持つ「LVL湾曲垂木」を合板で挟んだ工法を取り入れて軽やかさを演出した。
 

完成は2016年。施主からの「地域の人が集える施設にしてほしい」との要望どおり、現在は園児だけでなく近隣の子どもやお年寄りが思い思いに使い、狢腓な樹瓩硫爾任罎辰燭蠅噺鯲できる空間になっている。
 
「東海大学在学中は、約200人の同級生とアイデアを競い合う日々だった」と振り返る。指導教員の吉松秀樹教授をはじめ、第一線で活躍する建築家の指導を受ける機会も多く、常に新しい発想を追い求めた。その後恩師が卒業した東京藝術大学大学院を修了。設計事務所勤務を経て15年に独立し、16年からは建築学科の非常勤講師も務めている。
 
建築家の魅力は「考えたことが形になること」と語る。何度も施主と話し合い、全体のストーリーを考え、それをもとに細部を詰めていって形にする。完成まで何年もかかり、難しい課題にぶつかるときもあるが、「それを解決する面白さもある」という。
 
「これからも多くの人が集う公共施設を手がけたいと思っています。その一方で、生活に最も近い存在である住宅もやってみたい」と語る山下さん。活動の場は広がり続ている。

 
(写真)在学生には、「できる限り未知のものに挑んでほしい」とエールを送る。「挑むことは大変ですが得るものも大きいはずです」(写真提供=山下貴成建築設計事務所)