News:研究
2020年3月1日号
新たな観察法を開発
【マイクロ・ナノ研究開発センター】
光学顕微鏡の限界をこえる

マイクロ・ナノ研究開発センターの岡村陽介准教授(工学部)と張宏研究員(同)らの研究グループが、一般的な光学顕微鏡を使って臓器切片や神経などの生体試料を高い感度で観察する新手法を開発。成果をまとめた論文が1月10日付で、科学オンラインジャーナル『PLOS ONE』に掲載された。

通常、光学顕微鏡で観察する際には、試料をカバーガラスで挟む手法が用いられている。ガラス厚は170マイクロメートル程度だが、高倍率で試料を観察する際にはそのわずかな厚さが障害となり、観察できる深さが制限され、深くまで見られる顕微鏡は、高価な点などが研究の障壁になっている。

岡村准教授らは、その解決策として、カバーガラス上に試料を置き、ガラスの1000分の1程度の厚さの撥水性ナノシートで覆う手法を提案。従来は120マイクロメートルまでしか観察できなかった試料でも、300マイクロメートル程度まで見られるようにした。

岡村准教授らはこれまでにも、顕微鏡観察に応用できるさまざまなナノシーを開発し、試料の乾燥を防いで長時間観察する手法や液体上に浮いている浮遊細胞を生きたまま観察する手法などを提唱してきた。張研究員は、「自然科学研究機構生理学研究所の根本知己教授や、昨年度大学院工学研究科を修了した鎗野目健二さんらの尽力があったからこそここまでの成果を出せた。心から感謝している」とコメント。岡村准教授は、「これまでの研究で、ナノシートを使ったイメージング技術の土台が固まった。今後は医療分野をはじめとした多分野に応用できるシートの開発にも力を入れていきたい」と話している。

 
(写真)左から張研究員、鎗野目さん、岡村准教授