特集:東海大生200人に聞きました
2019年6月1日号
思わぬ事故をどう防ぐ?
とっても便利で危険な自転車

日常の便利な交通手段として広く使われている自転車。その一方で、車道と歩道のどちらを走ったらよいのかなど、交通ルールの解釈があいまいになりがちで、一つ間違えれば重大事故を起こしかねない乗り物でもある。東海大学の学生たちは、自転車についてどのように感じているのだろうか。200人に聞いた。

「日常生活で自転車を利用していますか?」と聞いたところ、ほぼ半数の51%が「はい」と回答。その目的は、「通学」73人が最も多く、「買い物」63人、「通勤(アルバイト)」34人と続いた。
 
「自転車に乗っていて危険を感じたことはある?」との質問では、「はい」が76%。「歩行者が曲がり角から飛び出してきた」50のほか、「自動車が幅寄せしてきた」46人が続き、自転車以外の道路利用者とのトラブルが多いことが判明した。
 

その一方で、「歩いていて自転車が危ないと思ったことは?」との質問に81%が「ある」と回答。「横を高速ですり抜けられた」80人、「スマートフォンのながら運転」73人、「人混みで降りない」57人と、自転車利用時に危険と感じたことのランキングとは異なる回答が上位に。自転車利用者による無意識の行動が歩行から危険と感じられていることをうかがわせる結果となった。 

学生からは、「自転車は車の一部であると意識すべき」(海洋学部4年)や「歩行者は急に歩道から出ないでほしい」(法学部3年)、「歩行者、自転車、自動車が意識することで変わることはあるのではないかと思う」(観光学部4年)など、道路の利用者が相互に気をつけるべきという意見のほかに、交通ルールを徹底するため「自転車にも講が必要だと思う」(情報通信学部4年)との声も寄せられた。



学生たちの声から
Q.どうすれば自転車を安全に使えると思いますか?
▶ 自転車の交通違反を厳しく取り締まったほうがよい(法学部4年・男子)
▶ 自賠責保険加入を義務づけるべき(政治経済学部3年・女子)
▶ 自動車の免許を取るときのように、自転車にも講習が必要(情報通信学部4年・女子)
▶ 歩行者と自転車・自動車利用者の一人ひとりが意識を変える必要がある(観光学部4年・女子)
▶ 自転車の利用者は、歩行者の気持ちを考えた運転を心がける(理学部1年・男子)
▶ 自動車と自転車の双方が意識していなければ事故を起こすので、あきらめるしかない(法学部2年・男子)
▶ 自転車と歩行者の道路を分けるべき(経営学部2年・女子)
▶ 自転車を使う人は、周りを見てすぐに止まれるスピードで走らなければならない(海洋学部3年・男子)
▶ すべての自転車に、周囲の明るさに応じて自動点灯するライトをつけるべき(生物学部4年・女子)
▶ 自転車にウインカーをつけてはどうか(海洋学部4年・男子)
▶ 歩行者は道に広がって歩かない(医学部5年・女子)
▶ 歩行者はイヤホンをしながら歩かない。もしくは音量を下げて周りの音が聞こえるようにしておく(文化社会学部2年・女子)
▶ 無音でいきなり追い越されるよりは、ベルを鳴らされてもいいと思う(政治経済学部3年・女子)
▶ 歩行者が下を見て歩かないようにするためにユニークな標識を道路に設置しては?(健康学部2年・女子)

ルールを知る機会が少ないのも問題
譲り合いの発想で道路を安心安全に
工学部土木工学科 鈴木美緒 准教授

アンケートの結果を見ると、自転車利用者の側が意識していないポイントで、歩行者が危険を感じていることが読み取れます。
 
実は道路では、こうした認識の相違が事故につながりやすいのです。特に自転車の場合、許制度もなく、正しいルールを学ぶ機会もほとんどありません。たとえば道路交通法では、歩行者優先の場所でベルを鳴らす行為は2万円以下の罰金と規定されており、片手運転にも罰金が科せられていますが、そのことを知る人はほとんどいないと思います。だからこそ、自転車と歩行者の双方が「相手のことを考えて利用する」という発想が大事になります。自転車はスピードを出しすぎホは厳禁です。
 
それは、自動車と自転車の関係でも同じこと。邪魔だからと、自転車にむやみに幅寄せするのではなく、よけて追い越す心の余裕を持ってほしいものです。
 
近年では自転車優先走行レーンの導入などが進んでいますが、道路幅が狭い日本ではそれだけで十分な安全を確保することは難しいのが現実です。「譲り合い」という当たり前のことを心がけ、自ら安全を守る工夫をしてほしいと思います。

すずき・みお 博士(工学)。専門は交通工学、交通計画など。