News:付属諸学校
2019年5月1日号
付属高校で広がる多彩な理科教育
国際交流やクラブ活動などを活用

学園の各付属高校で通常のカリキュラム以外の時間を使った理科教育が展開されている。高校を飛び出して日ごろの研究成果を発表したり、タイの高校生と国際交流をしながら意見交換をしたりとそのスタイルはさまざま。今号では、付属諏訪高校、付属高輪台高校、付属静岡翔洋高校で行われている理科教育に迫った。

【諏訪高】科学研究を通して タイの高校生と交流

3月20日から22日まで、タイ国王立スアングラーブウィッタヤーライランシット学校(SKR)サイエンスコースの2年生10人が諏訪高を訪れた。両校は国際的視野を養うことなどを目的として2016年に相互生徒間交流に関する連携協定を締結。その一環として科学研究に関する国際交流会を実施している。小口隆秀校長代理は、「科学研究を通して世界への視野を広げ、英語学習に対する意欲を高める機会」と話す。
 
21日には諏訪高理数科の1、2年生と科学部の生徒がSKRの生徒と交流し、それぞれが取り組んでいる科学研究の成果を、英語で口頭・ポスター発表。混合チームによる共同科学実験では、紙飛行機の滞空時間や自作した電池の起電力を競う実験にも挑戦した。

翌日は理数科の2年生とSKRの生徒が、信州大学で理学部生物学コースの東城幸治教授による「日本列島の形成と生物多様性」に関する英語の講義を聴講。水中昆虫トビケラの幼虫の個体比較などの実験を行った。

生徒たちは、「共同実験でSKRの生徒と一体感を感じることができました」「より深く交流できるよう、英語力を高めたい」と話していた。

【高輪台高】関東の高校生が参加 SSH校合同発表会

高輪台高のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)クラスの生徒たちが、3月21日に東海大学高輪校舎で開かれた関東近県SSH校合同発表会に参加した。

関東地区のSSH研究指定校の代表生徒がそれぞれの学校での研究状況とその成果を発表し、今後の活動をより充実させることを目的に、毎年会場となる高校を替えて開かれているもの。

18校が参加し、口頭発表とポスター発表を実施。高輪台高からは「プラスチックの劣化」について口頭発表をした澤田強希さん(2年=当時)をはじめ、約40人が日ごろの研究成果を披露した。

参加した生徒は、「積極的に意見交換ができたので、今後の研究のヒントにしたい」と話し、同高でSSHクラス担当の山田武範教諭は、「それぞれの研究内容をよくまとめていました。学外の研究者からもアドバイスをもらう貴重な機会になりました」と語った。

【静岡翔洋高】海浜植物の論文で大賞 三保の景観を取り戻す

静岡市三保松原文化創造センター「みほしるべ」で3月30日に、「松原研究アワード」の受賞論文が発表され、静岡翔洋高自然科学部の綿野壮さん(2年=当時)が高校の部大賞を受賞した。

世界文化遺産にも登録されている名勝・三保松原のある静岡市で、若手研究者による松林と松に関する優れた論文を表彰するもの。同施設の開館記念イベントの一環として公募された。

綿野さんは、「富士山文化富士山世界文化遺産構成資産三保松原の景観を守る〜海浜植物種子を利用した自然景観保全の基礎研究〜」と題した論文で応募。三保海岸で採取した海浜植物の種子を用いた発芽実験を行い、「ハマゴウ」「コウボウムギ」など4種類の植物の発芽に適した環境を調査した。

綿野さんは、「三保松原では海岸浸食の影響で海浜植物が年々減少しています。絶滅させないための対策を考え、淡水での発芽実験を行い、成功しました。研究成果を評価していただき光栄です」と話す。

自然科学部ではこれまでも、三保松原の環境保全に関する研究に取り組んできた。昨年度は公益財団法人山自然科学教育振興会の研究助成に採択されたほか、静岡県内の優秀な理科研究論文に対して贈られる「第65回鈴木賞」の正賞(1位)も受賞。部員同士で切磋琢磨し、生まれ育った土地の環境問題に向き合っている。

今後に向けて綿野さんは、「土での発芽実験にも取り組み、海浜への移植につなげることが目標。三保から姿を消してしまった植物を復活させ、緑豊かな景観を取り戻したい」と意気込んでいる。

 
(写真上)両校の生徒がアイデアを出し合いながら科学実験に取り組む
(写真中)関東地区18高校から多くの生徒が集まった
(写真下)開館記念のイベントで研究成果を発表する綿野さん