News:教育
2017年6月1日号
健康学部開設の理念アピール
企業や行政の識者招きシンポジウム
2018年度の開設に向けて世界で求められる人物像を探る

東海大学が2018年4月に開設を計画している健康学部のキックオフ・シンポジウム第1回「ヘルスフロンティアへの東海大学の挑戦」が5月11日、東京・霞が関の校友会館で開かれた。新学部の理念の説明をはじめ有識者による基調講演やパネルディスカッションが行われ、企業や行政、大学関係者ら約120人が参加した。

健康学部は、健康マネジメント学科の1学科体制で湘南校舎に設置。身体をはじめ心理や経済、社会的な側面まで含めた健康に関する多角的な知識・技能の習得、地域社会や企業と連携した教育の展開を目指す。

シンポジウムは、新学部の理念や教育研究活動を周知するとともに、企業や行政、研究機関の識者らと健康学のあり方を考える機会とするために企画されたもの。第1回となる今回は、「なぜ、今、健康なのか?日本、グローバルで求められている人材像とは?」をテーマに開かれた。

山田清志学長が冒頭で、「皆さまからいただいた意見を今後に生かしていきたい」とあいさつ。その後、健康学部設置準備委員会の堀真奈美委員長(教養学部教授)がシンポジウムの趣旨と新学部のビジョンを説明し、「本学の理念である文理融合を推進しながら、医学だけでは解決できない健康問題に挑んでいきます」と決意を語った。

アーミテージ教授ら各界から期待の声
続いて、イギリス・オックスフォード大学公衆衛生学名誉顧問のジェーン・アーミテージ教授が、「健康寿命を伸ばすために―科学とビッグデータの活用―」と題して基調講演。医療や健康分野でのデータ活用の歴史や事例を紹介し、「ビッグデータの活用が疾患の早期発見、治療につながる」と語った。

さらに、NPO法人日本医療政策機構事務局長の乗竹亮治氏がモデレーターを務め、「誰もが健やかな社会を構築するには?健康長寿社会に向けて、日本、世界においてどのような人材が必要とされるのか?」をテーマにパネルディスカッションを実施。産官と新聞社の識者4人と東海大学スポーツ医科学研究所の石井直明教授がそれぞれの立場から意見を述べ、会場も交えた質疑応答も行われた。

討議を受けてアーミテージ教授は、「健康を総合的に捉えるという新学部のアプローチは野心的。今後も注目したい」と期待を語った。

なお、終了後に行われた情報交換会には塩崎恭久厚生労働大臣も出席。新学部開設について祝辞を述べた。

健康長寿社会の実現に必要な力とは?
パネルディスカッションでは識者4人が多様な視点から求められる人材像や新学部への期待を語り合い、最後に石井教授が抱負を述べた。

◇戸塚卓志氏
(リコーICT研究所 先端ソリューション研究センター所長)
解決すべき問題を特定し、その原因を明らかにするエキスパートが重要。各分野の専門家よりも一つ上の視点から社会的な動向を把握し、10年後、20年後を見抜く力を持つ人材を求める。

◇富原早夏氏
(経済産業省ヘルスケア産業課課長補佐)
 大切なのはマネジメント力。生涯現役社会の実現に向けて、多様な分野の専門家とコミュニケーションを図りながら、目指すべき将来像に向かって課題を特定し、解決して
いく能力が重要。

◇小室明義氏
(東急不動産 執行役員 ウェルネス事業ユニット ヘルスケア事業本部本部長)
健康長寿社会実現のための新たな商品をはじめ、サービスの必要性や効果をより多くの人に的確に伝えて理解を深めてもらうため、マーケティング力と、コミュニケーション力を持つ人材が望まれる。

◇木村 彰氏
(日本経済新聞社編集局編集委員)
キーワードは「総合性」。多角的な視点からトータルに健康をサポートし、子どもから高齢者まで、あらゆる年代に対応できる「健康管理のユーティリティープレーヤー」を育成してほしい。

◇石井直明教授
(東海大学スポーツ医科学研究所)
皆さんと我々が求める人材は同じ。魅力ある教育プログラムを責任を持ってつくり上げ、個々人に合った健康や幸せを考えてマネジメントできる学生を育てたい。ぜひ期待してほしい。

 
(写真上)健康や医療へのビッグデータの活用についてアーミテージ教授が講演
(写真下)「大学全体で健康と向き合いたい」と山田学長