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2017年2月1日号
阿蘇校舎18年度以降の使用方向性決定
実習などの専門授業で活用

東海大学がこのほど、昨年4月の平成28年熊本地震で甚大な被害を受けた阿蘇校舎について、2018年度以降の運営方針や農学部生らの修学環境などの基本的な方向性を決定した。1月24日に熊本校舎で、農学部の学生・教職員を対象に山田清志学長による説明会を実施。地盤調査の結果を踏まえ、引き続き熊本校舎を拠点とし、阿蘇校舎は可能な場所を再整備してフィールドでの実習を中心とした専門授業を実施すると発表した。

農学部や大学院農学研究科が置かれる阿蘇校舎は、熊本地震で講義棟である1号館をはじめ建物や敷地内のインフラなどに甚大な被害を受けた。昨年7月1日の授業再開にあたって、暫定的に17年度までの2年間は、熊本校舎に拠点を移すことが決定している。

一方で、昨夏から学内外の専門家による地盤調査委員会を設置。調査や検討の結果、1号館直下などキャンパス内各所の断層を確認した。これを受け、熊本県をはじめとする関係諸機関と連携して慎重に検討を重ねた結果、「教育機関として、少なくとも断層の上に新規の建物建設はできない」(山田学長)と判断。震災前と同様の全面的な阿蘇校舎再開は不可能であると結論づけた。

また、これまで30年以上にわたって築いてきた阿蘇校舎の特性はきわめて重要な財産であり、農学教育にとって不可欠であるという実情も考慮。校舎内の農場や放牧地など断層がなく継続的に利用が可能な部分については、安全性に配慮しながら実習などの専門授業に活用することを決めた。

農学部と大学院農学研究科は引き続き熊本校舎を拠点として講義を行い、安全性を確保したうえで、大学がバスを運行して阿蘇校舎での実習を実施していく計画となっている。

説明会では、山田学長が熊本校舎新1号館ロビーなどに集まった約300人の学生、教職員らに向けてこれらの状況について報告。「熊本校舎でも充実したキャンパスライフを送れるよう、今後も施設の整備などを進めていく」と語った。

なお、農学部生らの保護者には、書面で今回の決定について報告しており、農学部以外の学生や他校舎の教職員に向けてはキャンパスライフエンジンや学内イントラなどのネットワークを通じて周知を図っている。記者会見も実施教育環境を整備

同日には、熊本校舎で記者会見も実施。山田学長、平野葉一副学長(キャンパス連携担当)、中嶋卓雄九州キャンパス長、荒木朋洋農学部長が登壇し、新聞やテレビなど14社の記者からの質問に回答した。

山田学長は大学の判断や今後の方針について説明するとともに、「大学の使命は教育研究であり、優先すべきは学生が安全に学べる環境づくり。大変な災害に見舞われたが、熊本で農業人材を育てる方針に変わりはない。今後も新しい農学部をつくるという気持ちで取り組む」と述べた。
 
(写真)熊本校舎1号館で行われた説明会では、山田学長が判断に至った経緯や今後の方針を語った